研究領域 | ステムセルエイジングから解明する疾患原理 |
研究課題/領域番号 |
15K21751
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
岩間 厚志 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (70244126)
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研究分担者 |
田久保 圭誉 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局, 生体恒常性プロジェクト長 (50502788)
波江野 洋 九州大学, 理学研究院, 助教 (70706754)
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研究期間 (年度) |
2015-11-06 – 2019-03-31
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キーワード | 幹細胞 / エイジング / 疾患 |
研究実績の概要 |
本領域研究を国際的に競争力の高いものに育成するには、様々な海外の動向を見極めながら、高いレベルのサイエンスを実践する必要がある。その意味からも、様々な海外の幹細胞・エイジング・疾患研究拠点との連携・共同研究と、若手研究者を海外の研究機関に派遣し次世代研究を担う人材を育成することが重要である。本国際活動支援はこれらの活動を支援するものである。(1)当初の計画通り、EUのエイジングシステム医学研究プロジェクト "SyStemAge" のAnnual meetingに総括班の須田と連携研究者である菊繁が出席し、情報交換と共同研究を進めている。(2) 新規に、Lund Stem Cell Center (スウェーデン・ルンド大学) とCancer Science Institute of Singapore (シンガポール大学) との連携を開始した。(3) エイジングと疾患の数理モデルの共同研究を行うために、計画代表の波江野研究室の博士研究員(山本君代)を、数理モデルの世界的権威であるMichor教授 (ハーバード大学) の研究室に1年半の予定で派遣した。(4) 公募班員である滝澤 仁(熊本大学)を「炎症性因子による造血幹細胞老化のメカニズム」の共同研究実施のために、チューリッヒ大学病院に短期派遣した。(5) Institute for Stem Cell Biology and Regenerative Medicine (Stanford大学) の中内啓光教授との造血幹細胞のエイジングに関わる共同研究のために、博士研究員である山本 玲博士を千葉大学に短期間招聘し、共同研究を実施した。その他、短期招聘・派遣を積極的に行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H28年度は、本国際活動支援班の採択が決定してから実施期間が4ヶ月間と短かったものの、順調に国際活動を実施することができた。本研究領域の立ち上げにおいて、総括班に海外連携委員会を設置し、EUのエイジングに関するシステム医学研究 "SyStemAge"との連携を開始するとともに、その領域代表であるHeidelberg大学のAnthony Ho教授を総括班に参加していただくなど、国際活動を意識した体制を整備していたことが良い方向に作用したものと考えている。また、本申請に際して、国際的に評価の高い海外研究者の招聘やポスドクの相互派遣等に係る相手国研究者、研究機関との調整が進み、準備状況が良好であったためであると評価している。既に国際共著論文は47本、投稿中論文は17本にのぼる。本支援によりさらに増えるものと期待される。審査に際に、海外連携者の中には多数の日本人研究者が含まれており、国際交流という観点からは、日本人研究者に留まることなく、多様な国籍の研究者との連携を期待するとの指摘を受けたことから、バランスよく交流を行うように留意している。また、長期派遣する博士研究員が内定しているようであるが、選考の根拠を明確にする必要があるとの指摘に対しては、領域全体に募集を行い、希望者の中から本支援に最も趣旨が合致し、かつ領域の研究の推進に寄与しうる方を、国際活動支援班で選考させて頂いたものであり、特に選考において問題はないと考えている。海外からポスドクレベルの若手研究者を長期受け入れするなど、将来につながる研究を展開することも考慮することが望まれるとの指摘もあり、長期の受け入れについても積極的に検討しているところであり、是非実現したい。
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今後の研究の推進方策 |
1. 海外拠点との連携: "SyStemAge"のHo教授の招聘や本領域から"SyStemAge" Annual meetingへの参加を継続し、共同研究を進める。Lund Stem Cell Center (スウェーデン・ルンド大学)とCancer Science Institute of Singapore (シンガポール大学)の研究者を招聘し、情報交換とともに、共同研究について議論する。その他にも連携先を拡大し、海外研究者の招聘や当領域研究者の短期派遣を積極的に行う。2. 若手研究者の長期派遣:H27年度に引き続き、計画代表の波江野研究室の博士研究員である山本君代を、Michor教授 (ハーバード大学) のもとにH29年9月まで派遣し、エイジングと疾患の数理モデルの共同研究を推進する。また、ステムセルエイジングの研究推進のために、H29年9月から関連研究機関(現在検討中)に岩間研究室の博士研究員(小出周平)を1年半派遣する。3. 若手研究者の短期派遣ならびに受け入れ:公募班員の高岡をH28年7月2ヶ月間ドイツMax-Planck研究所Schuh博士の研究室に派遣し、卵子の老化研究に関する共同を行うなど、随時派遣の希望を取り、積極的に若手研究者の派遣を行う予定である。毎年博士研究員や若手PIの短期派遣(3~4名)を行う予定である。4. 若手研究者の受け入れ:連携機関との共同研究のために、毎年海外連携機関の博士研究員や若手PIの受け入れ(2~3名)を行う。また、新たに共同研究が開始されている海外研究機関については、共同研究推進の観点から優先的に人的交流のための支援を行い、海外活動を活発に実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
留学などの派遣が予定よりも遅れてしまい、繰越になってしまった。派遣が取りやめになったわけではなく、H29年度の派遣として使用する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
派遣予定者は決まっており、現在Baylor大学への留学とPortland大学への派遣に使用する予定である。
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