研究領域 | 稲作と中国文明-総合稲作文明学の新構築- |
研究課題/領域番号 |
15K21756
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
中村 慎一 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (80237403)
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研究分担者 |
細谷 葵 お茶の水女子大学, グローバルリーダーシップ研究所, 特任准教授 (40455233)
米田 穣 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30280712)
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研究期間 (年度) |
2015-11-06 – 2020-03-31
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キーワード | 考古学 / 新石器文化 / 稲作 / 都市形成 / 中国文明 |
研究実績の概要 |
国際活動支援班の主たる役割は、国際共同研究の推進や海外ネットワークの形成にある。その目的を達成するために、本年度は計4回の国際活動支援班会議を開催した。その中で議題として多数を占めたのは、外国人研究者の招聘である。 まず、4月にはハーバード大学教授のRowan Flad教授を招聘し、研究交流を行うとともに共同研究について打ち合わせる機会を設けた。また、11月にはオーストラリアのクイーンズランド大学よりLoraine Watson-Fox氏を宮崎大学に招聘し、プラントオパール分析についての検討を行った。さらに1月には浙江省文物考古研究所より王寧遠、陳明輝の両研究員、浙江省余杭区博物館の陸文宝館長を招聘し、良渚遺跡群から出土する遺物の保存処理に関する意見交換と日本の保存処理施設の見学を行った。また、年度末の3月にはシンポジウム開催に際し、南京大学より張玉林教授を招聘した。いずれの招聘も、最新の研究に関する情報の交換、今後の共同研究計画の立案などの面で、極めて有益な機会となった。 その他、国際活動支援班の事業の一つとして奈良文化財研究所にて国際シンポジウム「アフロ・ユーラシアの考古植物学」を開催した。それに伴い、ワシントン大学(アメリカ)、サイモンフレーザー大学(カナダ)、オックスフォード大学(イギリス)、中国科学院(中国)などから複数の研究者を招聘した。 以上のように、本年度は中国を中心に幅広い国から様々な分野の研究者を招聘することができた。この点では、国際活動支援班の本来的な目的を達成できたといえる。 また、9月には若手育成のための田螺山キャンプも開催しており、本年度は日本の東京大学・九州大学から各1名、アメリカのハーバード大学から1名、中国の北京大学から1名が参加した。今後の研究の新たなネットワーク形成に資する事業となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要でも記したように、複数の国から本領域の目的を達成するために必要な研究者を招聘できており、順調に共同研究を進められている。また、今後の研究ネットワークの形成という面においても、上記研究者のみならず、田螺山キャンプを通じた若手研究者の招聘にも成功しており、今後の研究の広がりを期待することができる。このように、当初の計画通り、あるいはそれ以上の成果を挙げることができている。 しかし、当初招聘予定であった欧米の研究機関所属の研究者の招聘、特に欧州の研究者の招聘、国際共同研究の進展に伴う若手研究者の海外派遣については十分であったとは言えない。これについては来年度以降に改善しなければならない。
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今後の研究の推進方策 |
外国人研究者の招聘については、浙江省における新発見の貝塚遺跡の調査を開始するにあたり、日本における調査技術および調査成果の検討を行うため、浙江省文物考古研究所研究員の招聘が決まっている。また、6月に南京で開催される国際会議で本領域が主催するセッションを開催するため、欧米からの研究者招聘を予定している。その他、9月に行う田螺山キャンプでは、日本・中国・欧米の各研究機関より、4・5名の研究者の参加を検討中である。その他、本領域が主催する国際会議も立案中であり、複数名の若手研究者が参加予定である。このように、すでに具体的な招聘計画を立てている。 また、4年目ということもあり、研究成果発信を積極的に行う。そのために、海外における学術会議や雑誌への参加・投稿を積極的に支援する。国際共同研究を深化させるための若手研究者を中心とする頭脳循環も積極的に推進していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に招聘する予定だった浙江大学の郭助教について、分析装置の都合で8月に延期しした。また、郭氏招聘に合わせて、関連する分析経費ならびに日本人の旅費として予定していた分についても次年度へと繰り越した。これらは、次年度6月に南京で開催される国際会議SEAAの参加旅費として使用することを予定している。
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