国際活動支援班
本領域は、植物の発生成長制御における本質的な発生ロジックの解明を目指している。このために設定した5つの多元的なアプローチのひとつに、従来の発生研究を牽引したシロイヌナズナでの理解を他の生物システムに投射する計画がある。そのシステムのひとつとして陸上植物進化の基部に位置するコケ植物である苔類ゼニゴケがある。ゼニゴケをモデルにした研究は日本発であり、日本で育て開花させるとともに、国際的な認知度を高めて世界的な研究動向を牽引することが重要である。そこで、ゲノムデータベース開発、若手研究者の相互交流、研究技術に関する情報交換、ワークショップの開催などを行った。ゲノム情報は生命科学研究を行う上で基盤となるものである。今年度は、国内外39の大学・研究機関の共同でゼニゴケのゲノム解析を完了し、論文として公開した(Cell 171:287-304, 2017)。更に、ゲノムデータや発現データを収録したデータベースMarpolBaseを開発し、国立遺伝学研究所を拠点に公開した(http://marchantia.info)。このデータベースは、本新学術領域の終了以降も、遺伝子登録や機能解析研究の拠点として国際的プレゼンスと情報発信に貢献することが期待される。また、国内外の研究者が広く議論し、共同研究を活性化するための国際ワークショップ(平成29年12月16日から18日)を開催した。領域研究者や多数の若手研究者が参加し、活発な交流が行われた。その結果、密な共同研究が生まれた。具体的成果として、植物のストレスホルモンであるジャスモン酸の受容と信号伝達の起源と進化を明らかにしたスペインのグループとの共同研究を公開した(Nature Chem. Biol. 14:480-488, 2018)。
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すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 7件、 招待講演 5件) 備考 (1件)
Nature Chemical Biology
巻: 14 ページ: 480-488
10.1038/s41589-018-0033-4
Cell
巻: 171 ページ: 287-304
10.1016/j.cell.2017.09.030
http://logics.plantdev.biol.s.u-tokyo.ac.jp/