国際活動支援班
新たな概念としての「ネオ・セルフ」を国際的に浸透させるために、国際的な研究者コミュニティを牽 引するための新たな戦略が必要である。当研究領域は、免疫学、立体構造解析、遺伝学、イメージングといった異分野の研究者の集合体で構成されており、各々の専門分野の研究者は計画班ごとに組織化されている。国際活動支援を円滑に行うために研究班の間で情報を共有し、領域全体が密接に連携する必要がある。領域代表者の松本が領域内の連携・調整を一点的に担うが、事務担当の横須賀はそれをサポートする。さらに、連携研究者の岸をチームリーダーとして国際活動支援に関する様々な要望の取りまとめを行う体制を構築した。それによって、1.共同研究支援:キックオフシンポジウムを開催し、本領域の国際活動支援についての基本方針を周知した。2.海外相互派遣支援:既に数件、海外共同研究者との相互派遣が予定されていたが、申請を取りまとめ本年度内の活動として、計画班員の横須賀がベイラー医科大学Brenner Malcolm博士を訪問し、キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)を用いたがんの細胞治療の最先端の現場を視察し、腫瘍におけるネオ・セルフ生成機構の解明についての議論を行った。3.研究リソースの国際的共有:初年度となる本年度は領域内で保有し、かつ海外研究者とも共有可能な膨大な HLAやTCRの発現プラスミド、イメージング実験に必要なGPIアンカー型キメラ蛋白のプラスミドなどの研究リソースを対象とし、これまでリクエストの多かったものを中心に取りまとめる作業を連携研究者の椎名が中心に取り進めた。同様に、研究リソースをデータベース化・HPでの公開を含め、どのように海外研究者と共有(分与)するかの作業フローの構築についても議論を行った。
3: やや遅れている
国際交流事業としては、本年度は分担研究者である横須賀がMalcolm博士を訪問する1件にとどまった。連携研究者の横山と笹月もオーストラリアの構造生物学者を訪問する予定であったが、相手方との日程調整がうまくゆかず、次年度の訪問となった。
本年度は分担研究者である横須賀が訪問したMalcolm博士はキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)を用いた米国のがんの細胞治療の第一人者である。このセンター自体が、MD Anderson Cancer CenterやTexas Children’s Hospitalを中核とするテキサス医療センター内にあり、Baylor医科大学やRice大学などと共に医療・研究・教育の大規模拠点を形成している。ビデオ会議などでの交流には限界があるため、本新学術領域の国際支援活動を利用して、Malcolm博士との直接の面談が実現した。がん免疫の世界ではなかなか理論先行で研究を進められない現状があり、横須賀が取り進めているT細胞シグナルのイメージング研究に興味を持っていただくことが出来た。また、訪問先では横須賀が22名の研究者との個別にディスカッションを行い、ヒトCD19-CAR-T治療が既にオートメーション化されて実際の医療に使われている現場を体験し、「ネオ・セルフ」において取り組んでいるがんの免疫療法に関する有益な情報を得ることが出来た。本国際活動を通じて取得した知見を腫瘍における「ネオ・セルフ」生成機構の解明に生かせればと考えている。
連携研究者の横山と笹月もオーストラリアの構造生物学者を訪問する予定であったが、相手方との日程調整がうまくゆかず、次年度の訪問となった。
連携研究者の横山と笹月は現在のところ平成29年7月にオーストラリアの構造生物学者を訪問する予定で、現在、相手方との日程調整を行っている。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
臨床免疫・アレルギー科
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