研究領域 | グローバル秩序の溶解と新しい危機を超えて:関係性中心の融合型人文社会科学の確立 |
研究課題/領域番号 |
16K21736
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
酒井 啓子 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 教授 (40401442)
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研究分担者 |
松永 泰行 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (20328678)
落合 雄彦 龍谷大学, 法学部, 教授 (30296305) [辞退]
久保 慶一 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (30366976)
石戸 光 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 教授 (40400808)
五十嵐 誠一 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (60350451)
末近 浩太 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (70434701)
山尾 大 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (80598706)
鈴木 絢女 同志社大学, 法学部, 教授 (60610227)
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研究期間 (年度) |
2016-06-30 – 2021-03-31
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キーワード | 国際関係 / グローバルイシュー |
研究実績の概要 |
国際活動支援班では毎年海外の研究機関と共同で国際会議を海外で実施しているが、2019年度はグローバル関係学の海外における研究拠点の1つとしての千葉大学バンコクキャンパス(マヒドン大学インターナショナルカレッジ内に設置)と同カレッジとの連携により 2019年12月2-3日、同大学Charinyarasami Hallにて国際会議「資源と移動」International Conference on Resources and Human Mobilityを開催した。そこでは、以下の点を会議趣旨とした。「人の移動は、広義の「資源」(天然資源のみならず、生活水準や雇用機会を含む経済的「資源」、民主主義など特定の統治体制としての政治的な「資源」、アイデンディを含む文化的な「資源」)に大きく影響され、逆の影響もまた想定される。さらに人の移動と「資源」との関係性は地球規模・地域的・国家間および国内主体間の関係性として階層的・複層的に関わりあっている。本国際会議は、この状況を具体的かつ理論的に把握することを目的とする。」会議では8つのパネルが設けられ、日本からの参加者は18名、海外からの参加者は約25名(タイ、フィリピン、オーストラリア、オーストリア、ドイツなど)と、第一線の研究者が集結して活発な研究報告および討論が行われた。会議後、フィリピンをベースにした国際ジャーナルAsian and Pacific Migration Journal 第28巻第4号に、その概要報告が掲載された。 https://journals.sagepub.com/eprint/XWA2IHURWP26FDBEZEFD/full
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国際活動支援班では、最終年度に①海外での国際会議と、②国内での成果報告を兼ねた大規模な国際シンポジウムを実施し、多くの関連する海外の研究者を招聘する予定にしていた。そのため、2019年度中は、①のテーマと候補地を模索し、テーマについては東アジア、中東、アフリカ各地で頻繁に発生している路上抗議活動を取り上げて「アラブの春ver2」とすることに決定した。候補地としては、ベイルート(レバノン)を予定してベイルート・アメリカン大学との交渉を開始したが、現地の経済破綻が深刻化したため、平行して台湾国立大学への打診を始めていた。その過程で新型コロナウイルスの世界的感染がおこり、レバノン、台湾はむろんのこと、全世界的に国際会議準備がとん挫した。 ②の国内での成果報告を兼ねた大規模国際シンポジウムについては、2019年中に最終成果としての論文執筆を進め、それをもとに和文研究叢書シリーズの刊行を準備したことに平行して、同シンポジウムを2020年12月頃に開催する方向で領域内研究者との間で調整してきた。同シンポジウムでは7巻本のそれぞれがパネルを設置し成果報告を行うとともに、本シリーズのテーマである理論、地域的政治経済統合、紛争、移民難民などに関する第一線の研究者を海外から招聘し、本領域の成果を広く海外に発信する企画を立てた。しかし、こちらも新型コロナウイルス蔓延の結果、2020年度には海外からの招聘がまず不可能であろうことが予測され、2019年度中の招聘交渉を進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本事業の総まとめとして予定していた二つの国際会議は、ぜひとも本事業として実施する必要があるが、現時点では2020年度の開催は困難だと予想される。そのため、2020年度は大規模な会議開催の事前調整の形で部分的なウェブ会議にとどめ、上記①の海外での路上抗議運動に関する国際会議と、②のうち国内での海外の第一線の研究者を招聘するシンポジウムの本格的実施については、本来の事業期間終了後とはなるが、新型コロナウイルス蔓延が終息した後の2021年度に繰り越しして実施したいと考えている。 一方、会議形式での成果の国際発信が困難であることから、英文での成果発表に力点を置いて最終年度の国際活動を行う。すでに各計画研究で一部の研究成果の英文化企画を検討しており、そこで会議招聘を予定していた海外の第一線の国際的研究者とウェブ会議などを進め、そこで関係を構築した研究者に原稿を依頼し、英文での論文集の出版を進める。すでに2019年度までにRoutledgeやSpringerなどの大手国際出版社の窓口に出版可能性について打診しており、2020年夏ごろをめどに領域全体での企画をとりまとめ、出版社との交渉に臨む予定である。同時に、オンラインペーパーや海外のジャーナルへの積極的な英文論文の寄稿を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終年度に①海外での国際会議と、②国内での成果報告を兼ねた大規模な国際シンポジウムを実施することを前提に、2019年度中に①のテーマと候補地を模索し、ベイルート(レバノン)を予定してベイルート・アメリカン大学との交渉を訪問・招聘して行う予定であった。しかし、現地の経済破綻が深刻化したことでレバノンへの出張・招聘ができなかった。その過程で新型コロナウイルスの世界的感染がおこり、レバノンやその他代替候補地はむろんのこと、全世界的に海外出張がとん挫、2020年度国際会議に向けた準備のための渡航・招聘を断念した。 ②の国内での成果報告を兼ねた大規模国際シンポジウムについては、2020年12月頃に開催する方向で調整してきたが、テーマとする理論、地域的政治経済統合、紛争、移民難民などに関する第一線の研究者を海外から招聘する予定にしていたところ、新型コロナウイルス蔓延の結果2019年度中の招聘交渉を進めることができなかった。 また、2019年度の国際会議の共催校のマヒドン大学による全面的な協力により、国際会議の費用が低く抑えられたことも、次年度使用額に回す金額が増加した原因である。
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