総括班では、本領域の最終年度において、これまでの期間の様々な議論を元に生まれた他に類例を見ない独創的な触媒開発に関する研究成果に関する情報共有とさらなる高難度反応への挑戦に向けて、5月に第7回公開シンポジウムを開催し、これまでに特に優れた研究成果を上げた研究者による研究発表を行うとともに、周辺領域の研究者との議論や情報共有を実施した。また、これまでに本領域において得られた研究成果について、領域が共催した各シンポジウム(7月上旬の若手研究者によるシンポジウム、9月の2件の国際シンポジウム、1件の国内シンポジウム)の場で、新たに確立した「精密制御反応場」の概念を広く発信した。これらに加え、12月には本領域の複数のInternational Advisory Boardを加えて第4回精密制御反応場国際シンポジウムを開催し、若手から中堅の研究者がこの5年間の期間に得た卓越した研究成果について、国際的に著名な研究者の前で発表し、評価いただくとともに、第一線で活躍する海外の研究者による新たな触媒の概念について情報収集の機会を設けた。また、前年度に引き続き、班員の30代~40代の若手研究者を中心として中国の有機化学を牽引する若手研究者とのジョイントシンポジウムを開催し、触媒開発の分野における継続的な日中の相互協力体制を確認し、将来の国際共同研究への発展に向けた研究内容の綿密な議論を重ねた。期間終盤には総括班のメンバーにより、中国、欧米を中心とした大学・研究機関を訪問し、本領域で得られた研究内容について各地で講演を行い、精密制御反応場の概念に基づく触媒設計と、それにより初めて達成可能となった新触媒反応に関して、国際的なプレゼンスを示すべく、積極的に発表する機会を設けた。
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