研究領域 | 反応集積化が導く中分子戦略:高次生物機能分子の創製 |
研究課題/領域番号 |
15H05835
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
深瀬 浩一 大阪大学, 理学研究科, 教授 (80192722)
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研究分担者 |
安田 誠 大阪大学, 工学研究科, 教授 (40273601)
中田 雅久 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50198131)
松原 誠二郎 京都大学, 工学研究科, 教授 (90190496)
土井 隆行 東北大学, 薬学研究科, 教授 (90212076)
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研究期間 (年度) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | 中分子 / 反応集積化 / 生物機能制御 / 複合化 / マイクロフロー |
研究実績の概要 |
本領域では合成プロセスの飛躍的な効率化により中分子化合物(分子量500-3000程度)の効率合成,さらにはその利用を目的としている.総括班では,研究者の交流,情報交換の促進,共同研究の支援,広報活動などを行った. 本年度は,“The 3rd International Symposium on Middle Molecular Strategy(ISMMS-3)”,“新学術領域「反応集積化が導く中分子戦略:高次生物機能分子の創製」第4回公開成果報告会”,“新学術領域「反応集積化が導く中分子戦略:高次生物機能分子の創製」第5回公開成果報告会”を主催した.また,若手の交流促進,人材育成を目的として,“第4回 新学術領域研究「反応集積化が導く中分子戦略:高次生物機能分子の創製」若手シンポジウム”も開催した.なお,ISMMS-3は“The 11th International Symposium on Integrated Synthesis(ISONIS-11)”とジョイントシンポジウムとすることで,より多くの招待講演者を招くとともに参加者数も100名を超える規模とした.加えて,総括班予算で購入した測定機器を用い,班員が合成したサンプルを測定することで,本領域の研究推進を図った.また,本総括班で雇用した技術補佐員が生物活性試験などを担当することで班員間の共同研究を推進した.他にも特にマイクロフロー合成の普及に力を入れた.マイクロフロー反応に習熟した班員の研究室で積極的に講習会を行ってもらうとともに,その研究室で他研究室からの学生や研究者の受け入れ,その技術指導を行った.これらの成果として多くの共同研究が進行中である.また,領域のHPを整理することで,これまで日本領域で得られた成果を分かりやすく一般の人々に公開した.併せてサイエンスカフェなどのアウトリーチ活動も積極的に推奨した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中分子領域の化合物(分子量500-3000程度)は、多彩な生物作用を示すため、医農薬などの高次生物機能分子として大きな注目を集めているが、実用的な合成が困難であるために十分には開発されていない。そこで本領域研究は、反応集積化などを利用した合成プロセスの飛躍的な効率化により、中分子を実用的な生物機能分子として創製することを目的とする。本年度は2回の成果報告会に加え,国際学会を主催した.これにより本学術領域のアクティビティを示すとともに,本領域における最先端の研究の情報交換を行うことができた.加えて,若手の会を開催した.この若手の会においても熱心な議論が行われ,若手の交流に効果的であった.これらの会に加えて,国際学会を共催した.これは本分野が非常に盛り上がっていることを示している.本分野がこのような盛り上がりを見せている背景には本学術領域の貢献が大きいものと考えている. 昨年度に本学術領域で雇用した特別研究員が特任助教として昇進したほか,本領域に係った多くの若手研究者が次のステップを踏み出している.これは本学術領域における若手の人材育成が効果的に機能していることを示していると考えている.また,本領域から多くの受賞,招待講演が選ばれていることも本領域のアクティビティの高さを示している. 本領域で購入した質量分析計,クリーンベンチ,核磁気共鳴などの装置は領域内で有効に利用されている.また,本領域で雇用した研究員,事務補佐員は研究者間の橋渡しを助けており,多くの共同研究が実施されている. このように研究推進,人材育成,何れの観点から言っても本総括班は本来の目的を十分に果たしている.
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今後の研究の推進方策 |
本領域研究は、A01高次機能中分子の創製、A02生物機能中分子の高効率合成、A03反応集積化の3班体制で、それぞれ(1)複合機能を有する生物活性中分子の合成、(2)糖鎖や天然物など複雑構造の生物機能中分子の効率的合成法開発、(3)効率的合成プロセスの開拓を目指した触媒反応場とマイクロフロー反応場等を利用した反応集積化をミッションとして、それぞれの研究題目に集中的に取り組む。さらに各班で開拓される「集積反応化学」や「機能分子」を領域内で共有し、横断的共同研究を推進して、有機合成化学を起点とした生物機能中分子を生み出す新学術領域を構築する。 総括班は班内,班間を問わず,本領域研究の円滑な実施のために、全体で有機的に連携した共同研究の推進を行う.具体的には,研究成果報告のための公開シンポジウムを年度ごとに1~2回開催する。この際、国内外の関連分野の研究者も招き、講演を依頼するとともに情報交換を行う。公開シンポジウムとは別に集積型有機合成国際シンポジウムを同シンポジウム組織委員会とともに従来の規模(100名程度)を拡大して開催し、本領域の研究成果を世界に向けて発信するとともに、活発な討論を通じて情報交換を行う。また,計画班間を横断する重要研究テーマの研究加速を目的として、流動研究員を配置する。流動研究員は研究の進捗に応じて研究グループを横断して研究を実施し、本研究が標榜する計画班連携を促進する。 本領域で得られた成果を社会・国民に向け、広く情報を発信するため、本研究を含む領域研究のWebサイトを充実するとともに、様々なメディアに情報提供する。サイエンスカフェなどのアウトリーチ活動にも積極的に参加し、研究者以外の一般の人々にも分かりやすく研究成果を伝え、国内外へ広く情報発信する。本研究により合成した化合物は様々な生物活性試験などに広く利用されるよう、化合物バンクへと登録を検討する.
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