研究領域 | トポロジーが紡ぐ物質科学のフロンティア |
研究課題/領域番号 |
15H05851
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川上 則雄 京都大学, 理学研究科, 教授 (10169683)
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研究分担者 |
田仲 由喜夫 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (40212039)
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研究期間 (年度) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | トポロジー / 物質科学 / 強相関 / 対称性 / ナノサイエンス |
研究実績の概要 |
H30年度の総括班の活動内容について、以下にまとめる。
◆「総括班会議」:領域研究会(名古屋大学)と日本物理学会(同志社大学、九州大学)の会期にあわせて総括班会議を開催し、運営や今後の研究推進の方針について協議した。◆「領域研究会」: H31年1月に名古屋大学で第4回領域研究会を開催し、本領域の成果発表と、最新の話題に関する討論を行った。◆「トポロジー連携研究会」:第10回連携研究会「非平衡系・非エルミート系の新奇量子現象」を11月に京都大学で開催し、最新の実験から新たな理論提案まで集中的に議論した。◆「領域横断研究会」:11月に奈良先端科学技術大学で物性関係の新学術領域が研究会を共催し、各新学術領域の成果を報告し交流を図った。◆「若手励起プログラム」:領域内外の他研究室に若手を派遣し若手研究者の育成の場を提供した。本年度は、5名の若手がこのプログラムを活用し、滞在先で集中的な議論を行った。◆「アライアンスワークショップ」:国際活動支援班が中心となり、 H30年7月にイタリアのエリチェ(マヨラナセンター)でSPINプロジェクトとアライアンスワークショップを共催した。また、10月には北京大学とワークショップを共催し、最新の研究成果を発表し国際連携を推進した。◆国際活動支援の一環として、研究者の派遣・招へい(REP)を5件、若手研究者の派遣・招へい(JREP)を7件実施した。◆「WEB広報」:領域ウェブの内容を充実させ、分かり易く成果発信を行った。◆「ニュースレター」:領域の成果や最近の話題などを冊子体として発行した(第4号)。◆「アウトリーチ」:昨年度に引き続き、高校への出張授業、オープンラボ、市民講座などを数多く実施した。◆「国内アドバイザー」:領域会議に合わせて開催した総括班・アドバイザー会議で領域運営・研究推進に関して頂いた助言を運営・研究に反映させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度も、総括班の活動を通して、研究者間の連携強化、若手研究者の育成、国際活動ネットワークの形成、アウトリーチ活動等に関して、充実した成果が得られたと考えている。
【研究者の交流】領域会議(名古屋大学)を利用し研究者間の交流を深めることができた。さらに分野融合型の連携研究会(京都大学)は、近年急速に進展している非平衡トポロジカル相の集中的議論の場を提供した。【若手研究者の育成】本年度も「若手励起プログラム」に参加した大学院生が、活発な議論を通して互いに大きな刺激を与えあった。若手研究者が知見を広げる機会となっただけでなく、共同研究を開始する端緒ともなった。平成31年4月1日現在で雇用されている7名のポスドクは、各研究グループで成果をあげている。最終年度も若手研究者が着実に研究成果をあげると期待される。【国際活動ネットワーク形成】イタリア(エリチェ)と中国(北京)で開催したアライアンスワークショップでは、主催国のイタリアや中国のみならず多くの国の研究者とも活発な議論を行った。国際派遣・招聘プログラムもうまく機能しており、若手を含む研究者の派遣と招へい(14件)は国際交流を推進する上で重要な役割りを担った。これらの活動を通して、国際連携がかなり充実してきたと考えている。【広報・アウトリーチ】研究成果などの内容を充実させた領域ホームページには、これまで50万件を超えるアクセスがあり、領域活動の発信に役立っている。これと相補的に冊子体のニュースレターを発行し、トピックス記事、研究会報告、第2期公募研究メンバーの紹介などを掲載することで領域内外への情報を発信した。アウトリーチ活動にも注力し、市民講座、高校生のオープンラボなどを積極的に行ってきた。今後とも研究成果をより広く社会に還元できるように努力を続ける。
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今後の研究の推進方策 |
以下の予定で、最終年度の領域運営をおこなう。
◆R1年12月に領域研究会を国際会議として京都大学で開催し、国内外の研究者を招き、領域成果を発表するとともに集中的議論を通して国際連携を深める。また、物性物理に関係する複数の新学術領域が参加する領域横断研究会を11月末に東京大学で主催し、他の新学術領域との交流を促進する。◆若手励起プログラムをさらに活用し大学院生やポスドクなどの若手研究者の育成の場を提供する。◆国際活動支援班の目玉としているアライアンスワークショップを、最終年度は2回開催し、国際連携を深める。R1年10月に米国のEPiQSプログラムとの第3回ワークショップを米国サンタバーバラで共催する。また、7月に企画されているマックスプランク・北京大のジョイントワークショップに本領域からも講演者を派遣し参加する。研究者派遣・招聘の国際プログラムでは、シニアな研究者(REP)および若手研究者(JREP)の派遣・招へいを通して国際連携をさらに充実させる。◆アウトリーチ活動のさらなる充実を図るため、市民講座や高校生向けの授業などにさらに注力し、科学の面白さを広く普及する。ウェブ広報も利用し研究成果を分かり易く発信する。◆充実したポスドク陣の活躍により最終年度も多くの成果が得られると期待される。◆昨年度より参加した第2期公募研究者は計画研究との連携研究を開始している。今後とも、さらなる連携の強化を図る。◆最終年度の領域活動を充実させるため、総括班会議を定期的に(国際会議、2回の物理学会の機会を利用)開催する。特に、領域国際会議の機会を利用して、国内・海外アドバイザーからの領域研究・運営への評価・助言を頂き、領域運営の総仕上げを行う。
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