研究領域 | J-Physics:多極子伝導系の物理 |
研究課題/領域番号 |
15H05882
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
播磨 尚朝 神戸大学, 理学研究科, 教授 (50211496)
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研究分担者 |
網塚 浩 北海道大学, 理学研究院, 教授 (40212576)
中辻 知 東京大学, 物性研究所, 教授 (70362431)
青木 大 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30359541)
野原 実 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 教授 (70272531)
藤 秀樹 神戸大学, 理学研究科, 教授 (60295467)
石田 憲二 京都大学, 理学研究科, 教授 (90243196)
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研究期間 (年度) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | J-Physics / 多極子伝導系 / スピン軌道結合 / 若手育成 / 共用備品 |
研究実績の概要 |
本研究課題は領域を運営する総括班であり、ここには総括班としての活動実績を記載する。 新しく公募研究として加わった研究者を交えて、5月に領域全体会議(後半キックオフミーティング)を東北大で開催した。公募研究の紹介の他に54件のポスター発表があり、若手5名にポスター賞を授与した。特別セッション「物性若手のためのキャリアデザイン」として企業で活躍する方2名の招待講演を行った。6月には国際活動支援班と共同で「J-Physics 2018: サマースクール & 新物質と結晶育成に関する国際ワークショップ」を淡路夢舞台国際会議場で開催した。海外からの15カ国29名を含む117名の参加者があった。サマースクールでは10件の講義、国際ワークショップでは29件の研究発表と33件のポスター発表があり、若手4名にポスター賞を授与した。9月の日本物理学会では共催シンポジウムを行い、領域の成果発表に努めた。12月にはニュージーランドのオタゴ大学で国際ワークショップを開催した。この他に、トピカルミーティングを首都大(8月)、琉球大(12月)、明治大(1月)に開催し、領域内の研究交流につとめた。また、4月に柏、7月にドレスデンで開催された国際研究集会の共催を行った。12月には奈良先端大で開催された「第12回 物性科学領域横断研究会」に参加して、領域の研究紹介を行うとともに他の新学術領域との研究交流を行った。 共用機器は順調に稼働しており、共同研究の件数も伸びてきている。 9月に第6号として114ページ、3月に第7号として102ページのニュースレターを発行した。ますます豊富な内容となり、情報交換や領域内外と国民に向けた情報発信に役立っている。アウトリーチ活動はSSHの希望者に実験を含む5回連続講義を行うなど積極的に行っている。 総括班会議を5月、9月、3月に開催して領域の運営方針や研究協力の進め方などを協議した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
領域全体会議、サマースクール、国際集会、トピカルミーティング、領域横断研究会は多くの参加者を得ている。これらの会合では、研究交流ばかりでなく、国際交流や世代交流も活発に行われている。トピカルミーティングでは公募研究を含めた項目間協力を促進する研究会も行われており、研究グループ間の交流も活発である。日本物理学会での共催シンポジウムでは領域の研究成果発信を行ったが、多くの参加者があり、本領域の研究活動が多くの関心を呼んでいることが再認識された。共用機器も順調に使われており、成果があがっている。ニュースレターも114ページ(第6号)と102ページ(第7号)と年々豊富な内容となっており、領域内の情報交換や領域外への情報発信に有効に利用されている。中間評価で十分に機能しているとは言い難いと指摘されたアウトリーチ活動については、近隣のSSH高校生に実験を含めた連続講義を行ったり、領域全体会議において企業から人を招き特別セッション「物性若手のためのキャリアデザイン」を開催するなどして、「研究成果を一般向けに分かりやすく公表する」、「企業と連携を図りながら、若手キャリアパス形成の取組を推進する」という観点に基づいた積極的な取り組みがみられる。 この様な総括班の取り組みによって予想以上の研究の拡がりが見られている。EuPtSiではf電子系で初めてのスキルミオンが発見されたが、これにより従来のd電子系とf電子系の研究者との交流や融合が見られる。この交流を加速させるためにトピカルミーティングも開催し、f電子系のスキルミオン研究が急激に進展しつつある。また、反強磁性的Mn3Snの異常ホール効果の発見は、新学術領域「スピン変換」から興味を持たれて共同研究に発展しており、これらの共同研究を通じて、多極子伝導の概念が予想をはるかに超えて急速に広まっている
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となり、より一層の研究交流を促進し、領域として大きな成果が得られるように努める。9月に神戸で国際会議を開催し、成果の発表とさらなる共同研究の促進につとめる。国際会議に先立ち、東北大金研との共催でチュートリアルセッションを設けて若手育成につとめる。海外から5名程度の講師を招き英語で丸一日の講義を行う。国際会議では若手のポスターを審査して優秀なものにはポスター賞を授与する。また、国際会議の会議録を出版する。6月から7月にかけて5つの地域研究会を行う。これは、研究項目を超えて近隣の研究者が集い、研究の進捗状況を紹介して研究交流に努めるものである。北九州、仙台、東京、大阪、札幌で開催するが、それぞれに集中的に議論する特別なテーマのセッションも設ける。さらに、1月に全体研究会を開催して、5年間の領域研究をまとめる。 8月には、多極子伝導を考える上で重要な対称性・群論のトレーニングコースを夏の学校として高野山で開催する。講師として数理結晶学の権威であるネスポロ・マッシモ先生(フランス・ロレーヌ大学結晶学教室教授)に依頼しており、5日間集中合宿形式で行う。 ニュースレターは引き続き2回発行する。研究の裾野が領域外にも拡がってきているので、領域外にも原稿執筆を依頼する。さらに研究領域の裾野を拡げる意味でも、共用機器のより一層の利用促進につとめる。中間評価で指摘されたアウトリーチ活動については、全国のSSH校へ積極的に働き掛けるなどして、幅広い研究成果の発信に努める。また、国際周期表年2019への協賛を通じて、領域研究の発信に努める。7月に周期表に関する一般向けの行事(講演会と元素検定)を計画している。
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備考 |
総括班が運営・管理しているwebページです。これも情報発信に用いています。
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