総括班
本年度も、例年通り、領域全体の方向性を決定し、研究面におけるメンバーのサポートをいかに進めるかを打ち合わせるため、5・8・12月に計3回の総括班会議を開催した。総括班会議では、現地調査、シンポジウムの開催、学会への参加のほか、領域企画展の開催などについて、その内容や時期について話し合った。また、9月の現地調査の際に開催する本領域の目玉企画である「田螺山キャンプ」については、参加メンバーの選定やカリキュラムなどが話し合われた。さらに、研究交流のための外国人研究者の招聘についても国際活動支援班と連絡を取りながら検討した。2018年度は最終年度の前年度ということもあり、領域として研究成果をどのような形にまとめていくのか、その最終的な方向性を決定するのに重要な一年であった。これについては、日本側だけではなく、総括班・国際活動支援班が密に連絡を取りながら中国側のカウンターパートとも検討を重ねた。そして、最終的に総括班会議の場において、領域メンバーが稲作文明という共通のテーマのもとでそれぞれの成果を文章化し、図書を出版するという構想を打ち出すことができた。すでに図書の構成も決定しており、これは総括班が果たした最も重要な役割の一つとなった。その他、毎年夏季に行っている現地調査について、2018年度は調査対象遺跡の一つである良渚遺跡群の世界遺産申請作業により、調査を実現することができなかった。そのため、例年とは異なる時期に各メンバーが現地調査に赴くことになったが、その際にもそれぞれ総括班メンバーが調査の日程や内容の調整を現地と行った。また、領域ウェブサイトの更新、研究成果の共有、事務連絡などの細々とした業務についても総括班が一手に役割を担った。
2: おおむね順調に進展している
実績概要にも書いたように、当初予定した良渚遺跡群における夏季現地調査が、世界遺産申請に係る作業と日程的に重複したため、実現しなかった。しかし、総括班が現地研究所と連絡を取ることで、時期をずらした調査を行い、各メンバーの計画に沿った調査を実現した。また、「田螺山キャンプ」は、昨年同様、好循環を生み出している。2016・2017年度に田螺山キャンプに参加したハーバード大学や北京大学のメンバーが、2018年度に本領域で開催したシンポジウム「Faunal Utilization During the Prehistoric Age in the Pan-East China Sea Region」で発表を行い、さらに同シンポジウムに参加した別のメンバーが2018年度の田螺山キャンプに参加している。このように、各年度のメンバーが研究交流を行い、新たな研究成果を創出するという循環が生まれている。これは、当初、総括班を中心に進めた田螺山キャンプの理想的な形であり、それが実現したといえる。総括班が国際活動支援班と共に主導した国際シンポジウム・講演会としては、上記および「SEAA Conference Nanjing 2018」、「稲作と中国文明 講演会」がある。また、領域企画展として、本年度は金沢大学資料館にて成果展示を開催した。
2019年度は最終年度ということもあり、2018年度の総括班会議で決定した最終報告としての図書の出版を、優先的に進めていく。また、成果論文の執筆にあたり、各メンバーが追加調査を必要とすることが想定される。その際は、総括班が現地研究所と調整しながら調査を行えるようにする。本領域では学際研究が多くなるため、個別の研究者間がスムーズに連携し、新たな研究成果を創り出せるよう注意する。成果発信については、すでに5月に駒澤大学で開催される日本考古学協会でセッションを開くことが決定している。また、中国語、英語での出版物も決定しているため、これらを積極的に進める。その他、テレビなどのメディア出演や領域企画展、ひらめきときめきサイエンスなどの機会を利用して、一般にも研究成果を還元していくよう心掛ける。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (23件) (うち国際学会 12件、 招待講演 1件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (5件)
古代
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
アジア遊学 世界遺産バリの文化戦略~水稲文化と儀礼がつくる地域社会
巻: 230 ページ: 141-193
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巻: 24 ページ: 236-244
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Feeding the Past: Papers in Honour of Martin Jones
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季刊考古学
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考古学ジャーナル
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