総括班
本領域では染色体の3次元構造とその動態(動的可塑性)をまず記述し、更に情報を整理統合し、染色体高次オペレーティングシステムの分子基盤の共通性と特異性を見出すことを目的としている。このため、計画班伊藤の管理の下、H27年度に染色体OS情報解析プラットフォーム用サーバーを東工大に設置した。既に細胞周期、疾患等の各条件下における染色体高次構造データは50を超え、班員から多くのシーケンスデータがインプットされて連携の要となっている。このようなシークエンサーを核とした連携研究は9件報告されており、また、平野らが開発した人工染色体を基盤とした連携研究を含め、シークエンサーを介しない連携研究も10件を超えている。班会議は2回開催(大阪、東京)した。公募班を迎えてからは極力合宿形式とし、さらに、外国人の優れた技術を有する研究者を2名演者として招待し、技術講習会も併せて開催するなど、少ない時間をフルに活用する日程とした。また、国際連携支援、国際会議支援を効率的かつ円滑に行うためのためのソフトウェアの開発に着手した。これらの活動を通して、班員間、班員-アドバイザー間の連携強化や若手研究者の国際感覚養成など、期待通りの効果が得られた。ホームページを介して会議や本領域主催/共催セミナーの案内、求人、論文発表やプレスリリース等の情報発信をした。またニュースレターを半年に一回発行しており、これもホームページから広く閲覧可能としている。生物学以外の興味がある一般の方も対象とした異分野融合型のサイエンスカフェを企画し、第2回は2017年5月に「猫に捧げるサイエンス」(講師:谷村省吾、宮沢孝幸)として開催した。この他、共催学会 5件、共催セミナー 5件(白髭、広田、深川、平野、篠原)出張授業(中学~大学)4件、中学生~高校生の研究室見学受入れ6件など、を行った。
2: おおむね順調に進展している
Hi-C技術の導入も終了し、データベースの本格的な構築を開始した。また、これに合わせて染色体情報プラットフォームに染色体高次構造解析のためのパイプラインが準備され、誰でもがアクセス可能となっている。疾患と染色体高次構造の連携についても新たな知見を得始めている。班内の共同研究成果も徐々に論文という形でまとめられており、平野ー大杉等による試験管内での分裂期染色体の再構成の研究成果など、国際的に診ても他者の追随を許さないレベルの論文が発表されている。以上のように、当初の計画通り染色体情報プラットフォームと人工染色体という2つの大きな連携研究基盤の目玉は構築され、今後ますます班内共同研究が進展する下地が整った。アウトリーチ活動、若手育成のための講習会やシンポジウム、広報活動も順調に進展している。特に、アウトリーチ活動、国際会議支援、国際共同研究を効率的に行うための研究交流支援ソフトウェアの開発に着手し、汎用性の高い支援ソフトの運用も開始した。
最終年度に向けて、人工染色体と染色体情報プラットフォームを用いた共同研究基盤の活用がますます盛んになることが期待されるため、これらの技術基盤の充実を図る。特に、モデリングや一分子解析など海外に遅れを取っている分野に焦点を当てて研究の舵取りを行う。アウトリーチ活動、国際会議、広報活動、海外の著名の研究者の招聘による若手を対象にしたセミナー、講義、講習会など当初の計画通り進めていく。また、研究交流支援ソフトの開発も更に進める。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件、 招待講演 5件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
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http://www.chromosomeos.com/news/577