領域の研究を各種アドバイザリーボード、委員会活動を通じて取りまとめ、領域を推進させた。ホームページの更新を頻回に行い、成果の周知に努めた。領域評価者や国際アドバイザリーボードの指導・監督のもと、二度の領域会議を通じて、5年間の成果を取りまとめた。思春期主体価値の構成概念を、個人内心理の発達にとどまることなく、他者や社会との相互作用、他者との共同創造までをもモデル化して最終形をまとめるとともに、残された課題を整理した。これらの成果を取りまとめ、思春期主体価値の観点から人生行動を科学的にとらえる教科書「人生行動科学としての思春期学」を2020年度中に東京大学出版会より出版することができた。他領域との連携としては、特に「共創言語進化」領域(岡ノ谷一夫領域代表)との連携をさらに強化し、2020年度中に合同若手合宿を行うとともに、上記書籍において岡ノ谷が編者に加わった。さらに本研究で得られた成果をもとに、心理・社会福祉領域の専門職教育のプログラムを開発・出版(「精神療法トレーニングガイド」日本評論社、2020)し、文部科学省・高度医療人材養成プログラムとして社会還元に努めた。また、障害のある人が医療従事者・医学研究者となり、医療・医学における共同創造を実現するため、東京大学に医学のダイバーシティ教育研究センターを2021年4月からスタートさせる準備を行った。さらには、思春期主体価値の発達・発展に必要なレジリエンス要因を領域の研究から同定し、これらを中学校や高等学校のこころの健康教育に応用するため、教材を作成したり、実際に中学校での授業を実施した。このように、領域の科学的成果を、実際の社会や教育に還元する普及と実装を戦略的に行った。
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