研究領域 | 光圧によるナノ物質操作と秩序の創生 |
研究課題/領域番号 |
16H06503
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
石原 一 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60273611)
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研究分担者 |
笹木 敬司 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (00183822)
岡本 裕巳 分子科学研究所, メゾスコピック計測研究センター, 教授 (20185482)
尾松 孝茂 千葉大学, 大学院融合科学研究科, 教授 (30241938)
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研究期間 (年度) |
2016-06-30 – 2021-03-31
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キーワード | 光マニピュレーション / 光物性 / 有機光化学 / 物理化学 / レーザー |
研究実績の概要 |
本研究領域は、光が物質に及ぼす力、すなわち光圧を駆使し、「一つひとつのナノ物質を自在に選別し、非破壊・非接触に操る」ことによって高度な構造や機能を組み上げる「極微質量の人為的力学操作を通した秩序の創生」を目標とする。総括班では、この目標の達成の可視化に向けて設定した次の班間共同研究を強力に推進するための方針策定・企画調整など領域全体の指揮を執っている。 共同研究について、企画提案とまとめ役を担うコーディネーターおよび企画の具体化・計画立案および研究実施を担当する若手キーパーソンを総括班が指名し、領域会議や共同研究会議で議論を重ねた結果、共同研究[A]として「ナノファイバによるNV中心含有ナノダイヤモンドの光圧選別輸送」、「ナノ流路の微細ケージへのナノ粒子光捕捉とマクロ配列」、共同研究[B]として「金属ナノ構造による高選択性キラル結晶化とその機構解明」、「微小液滴中のレーザー捕捉結晶成長制御法」、共同研究[C]として「液―液界面での異種粒子同時捕捉・濃縮・配向制御」などの共同研究成果が既に挙がっている。 若手研究者・学生を対象とした「若手トレーニング道場」は、総括班が中心となって企画し、平成29年度は、アンケート調査に基づき上記に加えて4コース[4.光源制御道場、5.超精密力計測道場、6.分子流体理論道場、7.微粒子合成道場]を開設し、延べ30名が参加した。このトレーニング道場を通じて各グループの若手はそれぞれの技術・手法を持ち帰り各自の研究に取り込んで展開を試みており、既に多数の共同研究に展開している。またアウトリーチ活動に用いるトラッピング装置を企業との連携で開発し、活動を本格化させた。 成果報告会として年度末に第2回公開シンポジウム(大阪、参加者120名)を開催するとともに、レーザー学会、日本物理学会、日本化学会の年会等で領域関連シンポジウムを企画し開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本領域は、物性物理、光化学、フォトニクス、レーザー工学、ナノ機械工学、分子流体力学等の様々な分野の研究者で構成されており、異分野の先端的知見と技術を融合させてシナジー効果により新しい学際領域研究を開拓するための戦略的・組織的マネージメントが総括班に要求される重要課題である。この極めて広い研究分野をカバーして企画運営するために、総括班の評価グループは、当初、国内・海外評価委員それぞれ4名で構成していたが、物理、化学、生物、工学の各領域における光圧研究で著名な先生方5名にアドバイザーとして参画していただき、総括班会議において領域の方針策定・企画調整に関する議論に率直なご意見をいただくこととした。研究への考え方や取り組み方が違う異分野の先生方との議論によって領域マネージメントにおいても異分野融合の意識が高まりつつあることは高く自己評価している。また、総括班としての領域研究推進の企画運営、若手研究者の交流・育成プログラム、広報活動やイベント企画・アウトリーチ活動など、全般的な運営は当初計画通り順調に実行できていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
班間共同研究[A~C]を推進するため、総括班とコーディネーター・キーパーソンが密接に協力して企画立案と具体的な課題設定を行うとともに、課題毎に研究グループを組織化して共同研究体制を構築する役割を担う。また、若手トレーニング道場は更に道場を増やし、より広い研究分野を取り入れた共同研究の枠組みを築くとともに、若手研究者・学生の学問に対する視野を広げ、将来この学際的研究領域の担い手となる人材を育成する。さらに、領域会議、計画研究会議、班会議を適宜開催して共同研究のための情報交換・意見交換を行うとともに、総括班会議において領域の研究戦略・運営方針の議論を展開する。また、公募研究の募集についても、計画研究との連携を考慮しながら、期間後半に必要な要素研究課題を検討して募集要項を作成する。若手研究会、異分野研究室交換学生、海外派遣支援等の活動を引き続いて実施するとともに、平成30年度も台湾国立交通大学と本新学術領域の共催でサマーコースを台湾で開催し、学生を派遣して交流を深める計画となっている。また、学生・助教クラスから好評の若手研究者塾も評価委員の先生方と共に企画を進めていく。研究成果の情報発信としては、公開シンポジウムを1月に開催する他、国内・国際会議におけるシンポジウムやセミナーの企画、ニュースレターの発刊、ホームページの充実化を図る。
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