研究領域 | 和解学の創成-正義ある和解を求めて |
研究課題/領域番号 |
17H06334
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
浅野 豊美 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (60308244)
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研究分担者 |
波多野 澄雄 筑波大学, 人文社会系(名誉教授), 名誉教授 (00208521)
土屋 礼子 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (00275504)
外村 大 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (40277801)
梅森 直之 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80213502)
劉 傑 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (80288018)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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キーワード | 政府間和解 / 国民間和解 / 市民間和解 / 記憶と価値 / 感情の共有 / 国内政治と国際政治の共振 / 価値とソフトパワー / 価値と国内的正統性 |
研究実績の概要 |
2020年8月9日に国際和解学会がドイツのイェナ大学の国際和解学センターを本部として設立された。アメリカのジョージ・メーソン大学紛争解決学講座とともに、早稲田大学の本プロジェクトが協力拠点となり、領域代表も副会長を務めることとなった。これは、前年度の11月に領域代表がイェナ大学を直接訪問するなど、以前からの地道な国際ネットワークづくりが功を奏したものである。 そうしたネットワーク作りをさらに拡大すべく、英語による国際シンポジウムを2021年3月4ー6日にかけて、総括班による国際共同研究の一環として開催した。タイトルは、「東アジアにおける和解学の発展」(The Development of Reconciliation Studies in East Asia、会議言語:英語)であり、世界中から197名の登録者を得て開催した。内訳は、日本68、韓国31、米国22、台湾7、ドイツ9、英国6名が種であり、その他世界20ヵ国以上から参加を得た。このシンポジウムの開催にあたっては、国際和解学会も共催者となり、会長のマーティン・レイナーはじめ会員の多くが参加してくれた。パネリストは、29名であり、Zoomを使ったウェビナー形式で開催された。和解の基盤となる、正義や記憶をめぐる冷静な対話の基盤であり知的インフラともなる和解学構築に関心のある市民一般に向けて公開された。たとえ一人の参加でも、ポーランド、アイルランド、フランス、トルコ、香港、エジプト、コロンビアなどの諸国からも参加者があった。 国内で、和解学に共感する学生たちが現れてくれて、国際和解映画祭を映像の現場にいる専門家と共に開催することとなった。また、元外交官の中で、かつて1995年に出された村山声明を下から外政審議室長として支えた谷野作太郎さんから、昨年度に講演をいただいた際の記録を文字としてウェブサイトに投稿いただいた。同じ内容をペーストする論文を、和解学叢書に投稿いただく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際的な連携が充実し、和解学に関する国際共同研究の輪が、コロナの状況のもとでも、さらに広がった。Zoomをつかったリモート会議しかコミュニケーションできなくなったことが、かえって功を奏したのかもしれない。国際和解学会には、実務に携わる職員、NGOの活動を担う市民も参加しているが、必ずしも和解を推進しようというだけの学会ではない。なぜ和解には反発が生まれるのか、そもそもなぜ和解が難しいのか、その困難な理由を分析することも、また和解学会の重要な使命であるという主張が、市民権を得た。 また、国内においても市民一般の中の学生や、元外交官、そしてメディア、特に新聞以外でも、映像を専門にするテレビドラマ連盟や放送作家協会で要職を務める方からの協力を得ることができるようになった。特に、放送作家協会の理事長を中心に、「和カフェ」というオンラインサロンを開催し、和解をテーマとするドラマや映像を、学問的に考える機会とすることができたことは、意外の成果であった。また、学生たちから招かれて、早稲田祭においてNHK大河ドラマの脚本家でもあった竹山氏との対談の機会を得た。また、別の元外交官からお招きを受けて京都の日韓親善協会に参加するなど社会の関心が高まり、研究のチャンスが拡大された。
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今後の研究の推進方策 |
国内における多分野からの関心が喚起されたと同時に、国際的な学術連携が軌道に乗ったため、これをさらに確実なものとしていきたい。しかし、コロナの状況があるために困難ではあるが、領域代表がハーバード大学へ2021年8月からイェンチン研究所の訪問研究員として1年間滞在することが決まったために、それを活用していくこととする。また、7月には「東アジア国際和解映画祭」が早稲田大学で開催され、放送作家協会の理事長やテレビドラマ連盟の理事が脚本や短編映画の評価に深く関与してくださることとなっているため、それを契機として主に、文化記憶班と市民運動班が「生きた文化」としての記憶や感情を考える契機として、インタビュー相手の選定や関連学問研究者とのネットワーク拡大に活用することとする。また、ハーバード大学においても、北米の研究者を集めたシンポジウムの開催を検討していくこととしたい。
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