総括班
総括班は、基礎研究と応用研究の連携による正のスパイラルによって、高度な成果が生み出されるように、課題の拡大、必要な見直し等を行ってきた。21年度後半には、マイクロ波加熱の物理・化学の学理研究の根幹となる理論が生み出され、本領域に格段の進歩がもたらされた。その仮説は「波長の長いマイクロ波電磁場により、物質はコヒーレントな振動を励振する。このコヒーレントな振動が緩和して、最終的に熱というスカラー量になる。固体に於いては、このエネルギー経路は、コヒーレントフォノンの励起と熱的フォノンへに緩和として取り扱うことができる。励振および緩和過程に於いて、フォノン振動は多様な波数と周波数の組み合わせをとることができる。この組み合わせが、フォノンの共鳴一致するところで強いエネルギー吸収が起こる。この共鳴によって、高温領域でも熱的フォノンに匹敵する振動が得られる。この非熱平衡振動によって、マイクロ波特有の物性反応、構造相転移、低温に於ける反応促進などが起生される。」というものである。一方、在来の火炎による加熱は、プランクの法則に従う連続した黒体放射、特に波長数ミクロンに極値を持つ赤外線とボルツマン分布を持つ気体分子の衝突による熱平衡系から熱平衡系へのエネルギー転移過程であり、マイクロ波加熱とは明確に異なっている。21年度は3回の領域会議を開催し、各計画班と公募研究の成果を議論し、相互の研究を統一する学理の確立を図った。その流れの中で、この主要な理論仮説が生み出された。本領域の命題であるマイクロ波励起・高温非平衡場が明確になった。最終年度は、この作業仮説を立証する実験を推進し、非平衡過程を使ったマイクロ波エネルギーの高度利用を目指す。
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