研究領域 | 宇宙観測検出器と量子ビームの出会い。新たな応用への架け橋。 |
研究課題/領域番号 |
18H05457
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 忠幸 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 教授 (50183851)
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研究分担者 |
中村 哲 東北大学, 理学研究科, 教授 (50280722)
東 俊行 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (70212529)
二宮 和彦 大阪大学, 放射線科学基盤機構附属ラジオアイソトープ総合センター, 准教授 (90512905)
木野 康志 東北大学, 理学研究科, 教授 (00272005)
上野 秀樹 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (50281118)
三宅 康博 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 研究員 (80209882)
Patrick Strasser 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 講師 (20342834)
渡辺 伸 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (60446599)
能町 正治 大阪大学, 核物理研究センター, 招へい教授 (90208299)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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キーワード | 量子ビーム / 負ミュオン / 硬X線・ガンマ線イメージング / 超高分解能X線分光 |
研究実績の概要 |
11回の総括班会議をリモートで開催し、領域全体の研究、計画研究相互の設備共有、横断的な検出器開発の方針の確認及び調整を行った。COVID-19による制約が続く中で、研究を如何に進めるか、国際協力をどのように進めるか知恵を出し合って解決策を探り、領域全体の運営をはかった。主催・共催、協催をあわせて研究会を8回開催した。新たな視点や手法による研究を共同で行うことを目指し, 日本物理学会 第77回年次大会 共催シンポジウムを行い、広く物理学・医学・地学・考古学など分野横断の応用に関する議論を展開した。B01, C01, C02および公募研究が連携し、「はやぶさ2」によってもたらされたRyuguのリターンサンプルに対して、6台の低エネルギーGe半導体検出器と大掛かりなチェンバーを用いた非破壊元素分析実験をJ-PARCの負ミュオンビームを用いて行った。B01班が開発した、大気にさらすことができないサンプルを用いた実験のための特殊なチェンバーを継続的に使用するために総括班が支援した。総括班の支援のもと、A01, B02が中心となり、実験と理論の研究者が深く連携し、TESカロリメータを用いたミュオン原子・分子の実験を共同で行うことができた。領域横断的に開発してきた物理実験用FPGAボードの標準IPの整備をはかり、コンパクトなイメージング検出器への応用をはかった。ホームページの維持を行い、本領域の研究成果をまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本領域では、宇宙観測を目的に開発された革新的な先端検出器を, 超高強度負ミュオンビームを中心に高エネルギー光子、偏極を付加したRIビームなどの「エキゾチック」な量子ビームの研究を結びつけ, 新たな視点や手法による研究を共同で行うことをめざしている。想定以上に連携が進み、広範囲の物理学の他、化学、薬学、医学、考古学と異なった背景をもつ研究者がハードウェアのみならず、解析手法においても深く連携し、研究を進めることができている。実際に共に手を動かして実施する共同研究も多く実施された。超高強度負ミュオンビーム実験においてはC02を中心に大掛かりな実験を遂行するための整備がなされ、ビームの高度化がはかられている。宇宙観測のために開発された異分野連携の研究が進み、公募研究には、医学・薬学の研究者による3件の提案が採択された。革新的な技術開発を進める上で「超低速負ミュオンビーム」研究会や「高精度硬X線・ガンマ線偏光計を用いた原子物理・原子核物理実験の検討」小研究会などを開催し、領域横断で知見を集め、研究の課題を整理し、その解決をはかるための活動ができている。C01が開発を進める医学イメージング装置が複数の公募実験で用いられるようになった。また、TESカロリメータがJ-PARCの負ミュオン実験ばかりではなく、SPring-8における公募実験でも用いられるなど、異分野での応用が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたり、領域の成果創出とそのとりまとめのため、領域全体の研究戦略を策定し、各計画研究の研究推進、連携の強化を目指すと共に、本領域を通じて形成された研究者ネットワークや共同実験のスキームの継続をはかる。特に若手のリーダーの育成をはかり、将来計画をたてる。総括班が主体となり、領域全体の研究計画の到達点を確認し、その遂行をはかるための支援を行う。そのために内部レビューを各計画班ごとに実施する。定期的な総括班会議を開催し、情報交換を行う。数物領域に限らず、医学や考古学、エネルギーや原子力分野などの様々な研究テーマに対して、本領域で開発された素粒子、原子核、原子分子物理、宇宙観測の先端検出器を活用するアイデアの創出を積極的に行う。半導体を用いたイメージャ、加速器実験用TESカロリメータの整備に対する支援を進めると共に、X線天文学や素粒子実験のスペクトル解析技術と共に、領域内の展開をはかる。検出器開発ホームページの維持、ニュースレターの作成、アウトリーチ活動などを続け、プレスリリースなどを通じて成果の発信に務める。第二期の公募研究の円滑な実施と領域内の連携をはかる。本領域で示すことのできた異分野連携研究をより発展させるための国際シンポジウムの開催や研究者の招聘や派遣など、国際協力のネットワークの発展を支援するとともに、新たな国際協力の創出をはかる。
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