総括班
ユビキチン系はタンパク質の分解、細胞内局在、相互作用を調節することで多彩な生命現象を時空間的に制御する可逆的な翻訳後修飾系である。近年、ユビキチン修飾の様式が想定外に多様かつダイナミックであることが明らかになり、各修飾様式が制御する生命現象の理解のために、遺伝学的手法に依らない新機軸の解析・介入手法が渇望されている。本領域ではユビキチン研究者と生命科学指向の有機化学者を結集し、ケモテクノロジーを利用したユビキチン系制御ツールを開発することにより、ユビキチン研究を革新するとともに、新しい細胞機能制御技術の創出に挑戦する。本領域は異分野研究者の連携が重要となるため、総括班は領域全体の研究体制を整備し、領域の円滑かつ効率的な運営を進める。2018年度は以下の活動を実施した。(1)総括班会議:2019年1月14日に開催し、それまでの活動報告と以後のスケジュールを確認し、研究支援体制、国際活動支援や総括班予算の使途などについて協議することで今後の領域の運営方針を決定した。(2)領域全体会議: キックオフシンポジウム(2018年9月18日)では、本領域が目指す有機化学と連携した新時代のユビキチン研究について紹介し、公募研究を幅広く募った。第1回領域班会議はユビキチン研究会、若手の会と共催(2019年1月14日~16日)し、ユビキチン研究者と有機化学者の交流の場とするとともに、次世代を担う若手研究者の発掘の場とした。(3)共同研究推進活動:各計画研究が参加する3つ共同研究を設定し、質量分析解析、低分子化合物スクリーニング、ペプチド合成、構造解析など各研究支援拠点の立ち上げと連携体制を確立した。(4)広報活動:本領域のホームページを開設し、領域の研究活動を紹介した。日本分子生物学会年会、日本生化学会、日本薬学会において本領域の関連シンポジウム・ワークショップを開催した。
2: おおむね順調に進展している
当初計画していた班会議・総括班会議開催、ホームページの開設、研究支援用の質量分析計の設置、領域内共同研究はいずれも予定通り実施した。特に、ユビキチン研究者とケミカルバイオロジーの研究者が連携した異分野融合研究の推進に留意して活動した。第1回領域班会議はユビキチン研究会および若手の会と共催とした結果、計131名の参加者(領域外70名)があり、ユビキチン研究者と有機化学者が密な議論を交わすことができ、新たな共同研究の種が多々産まれたという点で大変有意義だった。また、先だって開催した領域キックオフミーティングは計123名の参加者のうち、企業の研究者が21名含まれており、ユビキチン創薬への期待が高いことが改めて確認された。一方、第41回日本分子生物学会年会、第91回日本生化学会、日本薬学会139回年会において本領域の関連シンポジウム・ワークショップを開催し、いずれも盛況であった。総括班が指揮する領域内共同研究は、ユビキチン関連分子のリガンドスクリーニング・阻害剤開発・構造解析・プロテオーム解析・タンパク質化学合成など、計14件の連携研究が実施され、研究成果も得られつつある。このように総括班の活動はおおむね順調に進展していると判断される。
公募研究が開始する2019年度は、4月にホームページを更新、6月に領域班会議を開催することで、計画研究との連携を迅速に進める。一方、若手研究者の海外派遣を含む国際活動支援を開始するとともに、関連学会においてシンポジウム・ワークショップを企画し本領域の研究活動を宣伝する。具体的には以下の項目を遂行する。(1)領域運営会議:6月と12月に総括班会議を実施するほか、計画研究班員が3ヶ月ごとに会し、各自の研究成果と研究方法を共有すると共に、国内外の学術動向を議論し、以降の研究計画の調整および研究・運営方針の策定を行う。(2)領域班会議:本年度は6月と12月に領域班会議を開催する。6月の領域班会議は公募研究紹介を主とし、本領域の方針と共同研究推進活動などについて連絡する。12月の領域班会議は3日間の日程で計画研究班員、公募研究班員が成果発表を行い、個々の研究計画について議論する。(3)共同研究推進活動:各計画研究が参加する3つ共同研究を引き続き実施するとともに、質量分析解析、低分子化合物スクリーニング、ペプチド合成、構造解析などの研究支援を班員に周知、領域内共同研究活動を斡旋する。(4)若手育成支援:2019年度は12月の領域班会議に先だち「若手の会」を開催し、次世代研究者の交流・育成を図る。(5)国際活動支援:若手研究者の短期海外派遣(1~2か月程度、3名)を実施する。また、若手研究者の国際学会参加を促進させるため海外旅費支援を実施する(6名程度)。(6)広報活動:本領域のホームページ(HP)を充実させるとともに、本領域の研究活動を網羅したニュースレターを発刊する。また、国内の主要学会(日本ケミカルバイオロジー学会や日本分子生物学会など)において共催シンポジウムを開催し、本領域の研究活動を宣伝する。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (18件) (うち国際共著 2件、 査読あり 15件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 8件、 招待講演 16件) 備考 (1件)
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