我々は過去と現在と未来を区別して生きている。ヒトで特に発達した時間の意識はどこから生まれるのか。先行領域「こころの時間学」の成果を継承・発展させる本領域では、新たに時間情報を生成する「人工神経回路」を構築して対照として用いることで、1)「時の流れ」の意識が生れる過程、2)脳内の周期的な「時を刻む」活動が時間の意識や運動のリズムを生み出す過程、3)発達や進化とともに「時を獲得する」過程、4)病気に伴って「時を失う」過程、の4過程を神経回路のレベルまで掘り下げて明らかにする。総括班は「作る」「流れる」「刻む」「獲得する」「失う」の計画研究5班の相互の有機的な結合を促進することを目的として、以下の5項目の活動を行う。1) 班員相互の情報共有と議論の場を設けて連携研究を推進すること、2)研究設備の共用を通じて研究を支援すること、3)若手研究者を育成すること、4)研究成果を広報し社会にアウトリーチすること、5)国際活動を支援することである。本年度は1) 班員相互の情報共有と議論の場を設けるために、9月と2月に2回の領域会議を開催し、連携研究の公募を行い6件の連携研究を支援した。2)共用の研究設備としてGPUを8枚備えた高性能深層学習用サーバーを導入しハンズオン講習会を開催した。3)旅費を中心として若手・女性研究者の支援を行った。4) 領域ホームページを開設して研究成果の広報を行い社会にアウトリーチした。5) 2件の国際シンポジウムに協賛して国際活動を支援した。
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