総括班
フラストレーションが生み出す新奇な物性現象の理論的・実験的研究を展開した。フラストレーション効果によって低温で安定化されると期待されるスピン液体状態は最近の固体物性研究のメイントピックの1つである。本年度はS=1/2カゴメ格子磁性体、3角格子磁性体、S=3/2ハニカム格子磁性体を中心に、中性子散乱、比熱、NMR等の実験測定を行い、理論とも連携した研究を展開した。特にS=1/2カゴメハイゼンベルグモデルについては現在の世界レコードとなるN≡43スピンの厳密対角化計算を実行し、系がギャップレスの基底状態を取っていることを示唆する結果を得た。実験的にも、歪んだカゴメ磁性体と期待されるボルボース石について、試料の単結晶化を進めている。また遍歴フラストレート磁性体CePdAl等において、T=0まで一部のスピンが無秩序のままとどまる部分無秩序状態が実験的に観測され、この状態がフラストレーションによって誘起された近藤効果を伴った異常相として理論的にも理解できることが示された。また、スピン波励起に伴うカイラリティ起源のベリー位相に起因するスピンホール効果が磁場勾配下で存在し得ることが理論的に示され、実験的にも目下その証拠が得られつつある。リラクサーはフラストレーションが本質的な役割を果たしていると期待される誘電体である。今年度は、高分解能中性子エコー法を用い、リラクサーで重要となる局所分極領域の種となる非常に遅い横波振動モードを新たに見出すことに成功した。
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すべて 雑誌論文 (27件) (うち査読あり 23件) 備考 (1件)
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