本研究の目的は、平成19年度から24年度まで続いた特定領域研究「植物メリステムと器官の発生を支える情報統御系」の成果を取りまとめることである。具体的には、第一に平成25年度9月に予定されていた事後評価ヒアリングのための準備をすること、冊子体による成果報告書を作成することである。第二の目的は、成果を広く社会に知らせるために、植物の形づくりに関する啓蒙書を出版することである。第三の目的は、新たに発足する新学術領域研究グループと合同シンポジウムを開催し、この分野の専門家に成果を公開することである。このような研究活動の結果、事後評価ヒアリングではA+ (研究領域の設定目的に照らして、期待以上の成果があった)の評価を得た。その後、これらの成果を取りまとめて冊子体成果報告書を作成した。さらに我々は第二の目的のために、平成25年度から新規に採用された高等学校「生物」の教科書の解説書(植物編)を作成し出版した。新生物教科書では、最新の成果が多数盛り込まれており、多くの高校教師が新しい知識を求めるようになった。我々の特定領域研究は、新教科書の植物に関する内容をほとんどカーバーしているので、高校教師の疑問に答えるための解説書を作成することを計画した。これは、本特定領域研究の成果を社会に還元する新しいタイプの活動となると考えた。ほぼ一年間の編集活動の結果、平成26年3月に講談社から「高校生物解説書 授業でそのまま使えるPowerPoint付き」を出版した(監修 : 町田泰則、岡田清孝、山本興太朗、執筆者 : 16名の班員による)。第三の目的であった合同シンポジウムは実現できなかったが、平成26年10月の新学術領域研究「植物発生ロジック」の立ち上げシンポジウムにおいて、本特定研の主な班員が研究発表をした。これにより、事実上植物の分子発生遺伝学分野の研究者に我々の成果を広めることができた。
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