研究領域 | 出ユーラシアの統合的人類史学:文明創出メカニズムの解明 |
研究課題/領域番号 |
19H05731
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松本 直子 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (30314660)
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研究分担者 |
稲村 哲也 放送大学, 教養学部, 特任教授 (00203208)
鶴見 英成 放送大学, 教養学部, 准教授 (00529068)
瀬口 典子 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (10642093)
中尾 央 南山大学, 人文学部, 准教授 (20720824)
後藤 明 南山大学, 人文学部, 教授 (40205589)
杉山 三郎 岡山大学, 文明動態学研究所, 特任教授 (40315867)
松木 武彦 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (50238995)
大西 秀之 同志社女子大学, 現代社会学部, 教授 (60414033)
入來 篤史 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (70184843)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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キーワード | 統合的人類史学 / 文明動態 / ニッチ構築 / 物質文化 / 文化進化 / 認知考古学 / 三次元計測 |
研究実績の概要 |
人間が物理的に生み出す物質、人間の身体、そしてそれらの相互作用の中核にあって文化を生み出す心という3つの視座の下に、文明形成期の物質文化に焦点を当てて、人間に特異的な「ニッチ(生態的地位)」がいかに形成されてきたかを明らかにする統合的人類史学を構築するという本領域研究の目的達成に向けて、2020年度は次のような活動を行った。 (1)全体会議の開催。2020年8月にオンラインで第3回全体会議を開催し、「人類史構築のための比較研究」をテーマとして各班からの報告・議論を行った。2021年1月に第4回全体会議をオンラインで開催し、領域メンバー全員のポスターセッションを行って相互の研究成果の共有と議論を促進した。 (2)異分野間交流の把握。統合的人類学の構築に必要な分野を超えた研究交流が着実にできているか確認するため、第2回から第4回までの全体会議における質疑応答の記録を元に相関分析を行い、一定レベル以上に推進されていたことを確認した。 (3)研究成果の総括 発信。第3回全体会議の要旨集をオンラインで、2019年度の研究活動報告書および2019年度に開催したメキシコ会議のプロシーディングスを紙媒体とオンラインで刊行した。領域刊行物は、印刷物を関連研究者および諸機関に配布するとともに、ウェブサイトからもダウンロードできるようにした。 (4)連携研究 国際研究の推進。班を超えた連携研究を推進するため、ユニット研究の立ち上げと推進をサポートした。地域を超えた比較研究のため、エヴィデンス表の入力を進めた。コロナ禍のため、予定していた海外調査や国際会議の開催は延期せざるを得なかったが、それに代わる研究方法の検討についてサポートした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの世界的パンデミックにより、特に令和2年度に、研究活動が予定通りには実施できないなど、大小の影響がすべての班で生じた。海外調査・海外での会議開催は延期せざるを得なかったが、オンラインを活用することで年2回の全体会議は実施することができた。オンラインの利点を生かしたポスターセッションやセミナーの開催により、分野を超えた議論を深め、共同研究を推進するという本領域の主たる目的は十分に達成することができた。 班を超えたユニット研究として、ランドスケープユニット、ヒト形人工物の顔・身体表現と社会複合化の関係についての分析ユニット、Domesticationユニット、食と栄養ユニット、人間生物学ユニット(Human Biology Unit)の推進を支援し、統合的人類史学の視点を深めることができた。成果の一部は、岩波『科学』における特集「文明をつくる力」としてまとめることができた。 以上のことから領域研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍のため、申請時の計画通りに粛々と進めることができない状況であるため、臨機応変に、よりよい戦略を立て、領域研究の目的を着実に達成することが求められる。これまでと同様、総括班が主導して領域内で緊密な連絡を取り合い、こうした非常時といえる状況下でも実施可能で、本領域研究の進展に寄与する研究を各班が工夫して実施できるよう差配する。また進行状況が異なる各班の成果を全体的なビジョンにまとめ上げるため、総括班はリーダーシップを発揮する。 領域メンバーが相互の成果を共有し、議論を深める場としての全体会議は、今後も年に2回、定期的に開催することとし、最終的な統合的人類史学の統合に向けて、計画的にクリアすべき課題をテーマとして選定する。コロナ禍で獲得したオンライン開催の技術と経験を生かし、状況に応じてオンラインのみ、あるいは対面とオンライン併用での開催とすることで、多くの参加者に成果が公開できるようにする。さらに、総括班は動画配信サービスやSNS等も多用していく。 今年度以降、急速に蓄積が進む遺物と遺跡の3Dデータのデータベースへの格納がスムーズにいくよう総括班で調整し、その分析および心理学的実験との連接についてC01班と連携して計画・推進する。 ヒトの特異性に関わる本源的なテーマを扱う本領域研究が研究をより効果的かつ強力に推進し、かつ社会的な認知度をより向上できるよう、関連する他の新学術領域研究とのコラボレーションも進める。
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