重い電子系の物理は、Ruderman-Kittel-糟谷-芳田(RKKY)相互作用および近藤効果以来、我が国の貢献が重要な役割を果たしてきた研究分野である。最近この分野で、新しいタイプの超伝導や多極子秩序の発見が相次ぐ一方で、ラットリング(非調和格子振動)と強相関電子が絡み合った新奇な複合電子格子物性にも関心が集まっている。また、軟X線光電子分光やレーザー光源光電子分光など、重い電子系の電子状態及びその秩序化を直接的に観測する実験手段が開発されるとともに、極低温磁化や回転磁場中の熱伝導・比熱などの精密測定法が我が国の研究者によって開発された。こうした新しい研究動向を組織的に展開することにより研究のピークを形成し、この分野における我が国の研究が世界の研究を先導し、さらに強相関電子系研究の将来を担う中堅・若手研究者の育成を図るために、本新学術領域研究の総括班としての活動を行う。
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