研究概要 |
総括班サンゴ礁共生・共存未来戦略の役割は,1)学際的研究の連携と推進,2)支援体制整備,3)成果の社会への適用,4)人材育成の4点である.平成23年度は,上記4項目を推進するため,以下を実施した.1)学際的研究の連携と推進のため,昨年度設定した3つの連携課題(複合ストレス,生態系応答社会システム)を分野横断研究として推進するため,4/9と12/23に総括班会合を開催し,5/14と1/27には公募研究発表会を行い,最終成果に向けて領域全体の連携を確認した.さらに6~9月にかけて計画研究班合同の調査を石垣島で実施した.2)支援体制整備および4)人材育成の一環として,9/5~9/10に琉球大学瀬底研究施設を拠点に全国7大学25名の大学生を対象にしたサマースクールを開催した.ポスドクなどの若手も企画運営に参画し,若い学生への指導を行うなど,幅広い視野を有した若手が育っている.3)成果の社会への適用については,8/20と3/10に石垣島白保住民を対象にした成果報告会とポスター展を通年で開催し,現地NGOのWWFジャパンとの連携を強化した。広く一般への成果発信としては,12/26にニュースレターvol.5を2千部発行,ウェブサイトでは随時成果論文のハイライトを紹介し,研究成果を広く国民に発信した.さらに11/6には,一般公開シンポジウム「サンゴ礁学-サンゴ礁の未知なる世界へ挑む:研究の最前線-」を,日本サンゴ礁学会編「サンゴ礁学」編集委員会と本領域の共催で開催し,150名が参加した.海外への成果発信としては,来年度2012年7月にオーストラリアで開催される国際サンゴ礁学会にミニシンポジウム「Coral reef response to multiple stresses:organisms to ecosystems」を提案し採択された.来年度の最終成果をここで発表する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
分野連携課題を設定して理工文にまたがる学際研究を意識的に進めるとともに,学部学生向けのサマースクールを3年間継続して行った.研究やサマースクールにポスドクが積極的に参加することによって,若手研究者の人材育成も進めることができた.さらに,国内・国際学会におけるセッションやシンポジウムの開催による研究の進捗だけでなく,現地説明会の開催や,一般向け啓蒙書『サンゴ礁学』の出版など,現地・一般へのアウトリーチを推進している.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題終了年度に向けて,3つの連携課題を軸に,領域全体の成果をまとめるとともに,成果を研究コミュニティだけでなく,現地と広く社会に発信・適用し,終了後も継続するための具体的な枠組み作りを進める.研究成果を発展させるとともに,本領域において構築された,現地との連携やサマースクールを,領域終了後も継続する仕組みを作らなければならない.また,こうしたアウトリーチの効果を,客観的に評価する指標を作る.もっとも重要なことは,本領域で育成された人材が,今後もこの分野で活躍できる場を作ることである.
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