研究領域 | 土器を掘る:22世紀型考古資料学の構築と社会実装をめざした技術開発型研究 |
研究課題/領域番号 |
20H05809
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
小畑 弘己 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (80274679)
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研究分担者 |
宇田津 徹朗 宮崎大学, 農学部, 教授 (00253807)
國木田 大 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (00549561)
阿部 昭典 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (20710354)
宮田 佳樹 東京大学, 総合研究博物館, 特任研究員 (70413896)
佐々木 由香 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 特任准教授 (70642057)
西田 泰民 新潟県立歴史博物館, その他部局等, 研究員 (80172667)
小林 謙一 中央大学, 文学部, 教授 (80303296)
根岸 洋 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (20726640)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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キーワード | 研究体制構築・調整 / X線CT装置 / 広報活動 / 研究活動補助 / 研究成果公開 |
研究実績の概要 |
本班の目的である①研究推進の促進(調整機能):研究計画間の研究活動の調整,②研究内容の総括・評価(チェック機能):年毎の各研究計画班の成果をまとめ,プロジェクト全体の課題解決に効果的に寄与しているかを検証する,を達成するために,以下のことを実施した。総括班会議の実施:総括班メンバーによるWeb形式の会議を6回開催した。会議においては,中間審査で指摘された,領域全体の命題である「農耕化とその影響」および「研究手法の実装化(土器総合学の確立)」に関する討議を行い,来年度へ向けて研究の方向性の改善や積極的な推進方策について議論した。そして,最終年度までに命題に対する回答を準備する体制を整えた。また,英語出版としている最終報告書の作成へ向けての計画作りおよび領域メンバーへの執筆依頼,出版社の選定などについ会議において議論を行った。 研究成果の公開として,公募研究メンバーを中心とした公開セミナーを年間5回開催し7本の研究成果を公開した。5月22日,東海大学で開催された日本考古学協会では,学変(A)「土器を掘る」の中間成果報告のセッションを立ち上げ,6本の研究成果を報告した。このセッションはハイブリッド形式で行われ,80名の参加があった。領域内の研究成果について12月10日にWeb上で研究成果報告会を実施し,8本の発表を行った。3月9日には明治大学アカデミーコモンにおいて本領域研究の成果に関する市民向け講演会をハイブリッド方式で開催した。6本のトピックを準備し,230名を超える参加者を得た。 上記各種会議での研究発表は領域内の会員サイトで公開し,領域内メンバーの再学習の機会と外部の若手研究者の視聴機会を維持している。このほか,若手研究者向けワーク ショップ,ひらめき・ときめきサイエンスなどを実施し,ニュースレターを2回刊行するなど,研究成果の公開に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査研究体制の構築と調整に関しては,2020年度に北海道埋蔵文化財センターと鹿児島県立埋蔵文化財センターに設置したX線機器による圧痕調査に続き,2023年度よりかながわ考古学財団門沢橋出土品整理室および福岡市埋蔵文化財センターに機器を移設して調査を開始した。調査は順調に推移しており,それぞれの地域的特性を示す発見があった。A01班で開発したAIによる軟X線画像による潜在圧痕同定法については国際誌で公開し,さらに同定率7割から8割へ向上させたシステムを開発し,国際誌へ投稿中である。今後は3D画像においても同定可能なシステムを開発予定である。A02・A03班におけるX 線CT機器による潜在圧痕の撮影・分析については,新潟県内の公立施設における機器利用や東京国立博物館分担者による撮影などを通じて順調に進んでいる。各計画班における調査資料の共有化も本年度は順調に行われ,当初の研究計画どおり,研究成果もさらに向上しつつある。 マネジメント分野では,領域内研究報告会,市民向け講演会の実施,各計画班で実施している研究セミナー,講演会,ワークショップとともに盛況であった。引き続きデジタルミュージアムの公開,ニュースレターの刊行も行い,各種講演会などへの参加も旺盛に実施し,研究成果の公開に努めた。 X線機器による土器圧痕調査は領域内の研究者によるものに限られるが,推進が図られ,各機関で成果が上がっている。さらに,青森県,福島県,鹿児島県の埋蔵文化財関連施設では,土器圧痕調査を整理作業の過程でほぼルーティーン化しており,徐々にではあるが,本研究手法が埋蔵文化財調査の過程に浸透してきている(実装化の進行)ことを知ることができる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は最終年度にあたるため,各班の研究活動以外に,以下2つの主な課題を競ってしている。1:領域研究命題(農耕化のもたらしたもの,総合土器研究学の手法確立)に関する答えを準備すること,2:最終報告書(英語版)の出版。1に関してはすでに総括班において協議を重ねており,5月末の日本考古学協会時にこれを集中的に審議する会議を開催予定である。2に関しては,英国の考古学系出版社と出版へ向けた協議を開始しており,領域内メンバーへの原稿執筆依頼も完了している。また,各計画班において,最終報告書(英語版)とは別に英語論文の投稿を促しており,これらを積極的に推進し,国外への成果の公開をさらに補強したい。 本年度は以下のようなスケジュールで研究を推進する。 5月:ニュースレター7号の発行,10月:研究打ち合わせ会・研究成果発表公開シンポジウム(神奈川県),10月:ニュースレター8号の編集・発行,12月:若手研究者を中心としたワークショップ開催(場所未定もしくはリモート形式),12~2月:研究成果発表公開シンポジウム(福岡市),通年:英語論文の執筆・最終報告書(英語版)の執筆・編集・HP・デジタルミュージアムの改変・追加,総括班会議の招集・開催。
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