研究領域 | コンピューティクスによる物質デザイン:複合相関と非平衡ダイナミクス |
研究課題/領域番号 |
22104001
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
押山 淳 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80143361)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | コンピューティクス / 計算科学 / コンピュータ・サイエンス / 次世代コンピュータ / 物質科学 / 量子多体系 / 密度汎関数理論 |
研究実績の概要 |
計算機科学分野である[A01計算機アーキテクチャと高速計算アルゴリズム]と、計算物質科学分野である[A02密度汎関数法の新展開]および[A03密度汎関数を超えて]の間の緊密な融合(コンピューティクス)により、また、実験科学との共同研究により、ナノ物質、新奇物質での複合相関と非平衡ダイナミクスを明らかにするのが、本新学術領域研究の目的であり、本総括班のミッションは、そのための様々な側面でのインフラ形成と融合促進にある。 23、24年度は、11件の計画研究と15件の公募研究によって領域の研究が推進された。公募研究には5件の実験研究班も含まれている。実際、計画研究佐藤班と公募研究田中班、周班の間では、希薄磁性半導体ナノ構造の作成と物性解明、また計画研究今田班においては強相関物質の電子状態について、計算と実験のコラボレーションによる成果が得られた。 24年度には本新学術領域の現時点での成果の集大成の発表の場として、またコンピューティクス分野の振興のために、International Symposium on Computics: Quantum Simulation and Design (ISC-QSD)が開催された(大阪大学、10月11日-13日)。内外から150名の参加を得て、計算物質科学とコンピュータサイエンスの双方の分野からの活発な議論が展開された(http://computics-material.jp/ISC-QSD2012/)。また、他の新学術領域研究との交流をはかるために、第6回物性科学領域横断研究会が11月27日- 28日に東京大学で開催され、物性科学の実験分野の研究グループとの議論が行われた(http://www.topological-qp.jp/ryoikioudan2012/)。 今年度の研究成果報告書(約全150頁)が作成中であり、関係各位に配布予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的である、計算物質科学とコンピュータサイエンスの融合は、個別の研究課題を通じて、順調に進展している。RSDFTコードのゴードンベル賞受賞に象徴されるような、二つの分野のさらなる融合研究成果が期待できる。当該分野の振興のための国際会議も開催され、アドバイザーである、Mike Gillan (Imperial College London)教授によるclosing address でも高い評価を受けた。
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今後の研究の推進方策 |
計算物質科学とコンピュータサイエンスのさらなる融合研究により、複数の理論手法の次世代コンピュータ環境での高性能計算を目指す。計画研究間、公募研究と計画研究間などの研究班をまたがる、物質科学の研究テーマを設定し、コンピュータサイエンス分野、実験物理分野との共同により、物質科学におけるブレークスルーを目指す。J-PARC、SACLA-Spring8などの国内巨大実験機関との連携により、計算科学と実験科学の共同研究を目指す。
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