研究領域 | コンピューティクスによる物質デザイン:複合相関と非平衡ダイナミクス |
研究課題/領域番号 |
22104001
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
押山 淳 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80143361)
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研究期間 (年度) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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キーワード | コンピューティクス / 計算科学 / コンピュータサイエンス / 次世代コンピュータ / 物質科学 / 量子多体系 / 密度汎関数理論 |
研究概要 |
計算機科学分野である[A01計算機アーキテクチャと高速計算アルゴリズム]と、計算物質科学分野である[A02密度汎関数法の新展開]および[A03密度汎関数を超えて]の間の緊密な融合(コンピューティクス)により、また、実験科学との共同研究により、ナノ物質、新奇物質での複合相関と非平衡ダイナミクスを明らかにするのが、本新学術領域研究の目的であり、本総括班のミッションは、そのための様々な側面でのインフラ形成と融合促進にある。 25年度から新たに2ヶ年計画で、A01、A02、A03のそれぞれの研究項目において、それぞれ2件、10件、7件の公募研究が開始された。このうち実験研究班は5件を数えている。計画研究11班と合わせて、総勢30研究班の体制となった。これら全ての研究班の代表者、分担者、連携研究者が一同に会する「コンピューティクス研究会」が、平成25年7月8日、9日に東京大学武田先端知ビルにおいて、また平成26年3月10日、11日に東京大学工学部6号館において開催された。いずれの研究会も口頭発表とポスター発表で構成され、活発な議論が繰り広げられた。会議の詳細、発表ファイルは本新学術領域のウェブサイト、http://computics-material.jp/jpn/symposium/index.htmlにおいて公開されている。また、他の新学術領域研究との交流をはかるために、第7回物性科学領域横断研究会を平成25年12月1日- 2日に東京大学武田先端知ビルで開催した。物性科学を横断する全部で6つの新学術領域参加者が一同に会し、活発な議論が展開された。詳細はウェブサイトhttp://www.topological-qp.jp/ryoikioudan2013/で公開されている。 今年度の研究成果報告書(約全150頁)が作成中であり、関係各位に配布予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的である、計算物質科学とコンピュータサイエンスの融合による新たな学術分野であるコンピューティクスの創成に関しては、個別の研究課題を通じて、順調に進展している。RSDFTコードによるSiナノワイヤー電子状態計算は、ゴードンベル賞を受賞したが、それに続く融合研究成果も期待できる。それを裏打ちする「コンピューティクス勉強会」も随時行われており、今年度からは遠隔地配信もなされている。今後は開発した計算プログラム群を活用して、物質科学におけるさらなるブレークスルーとなるような研究成果を期待したい。実験研究との共同の側面では、一般的な議論のフェーズでは有意義な共同が行われているが、さらに具体的な個別課題での共同については2,3の例を除いて若干物足りない点がある。
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今後の研究の推進方策 |
本新学術領域研究も余すところあと1年となった。当初の目的であるコンピューティクス学術領域の創成については、世界に類を見ない研究者集団により、着実な進展が見られている。26年度には、国際会議(International Symposium on Computics / Quantum Simulation and Design: ISC-QSD2014)が12月に東京大学小柴ホールで開催される。2012年のISC-QSDに続く2回目の開催である。これを通じて、コンピューティクス領域の重要性と本領域の進展状況を国内外に認知させたい。本新学術領域の終了以後も、計算科学関連の国家的事業は継続予定である。たとえば「エクサスケール・コンピューティング」プログラムもすでに開始された。物質科学分野からもこれに積極的に加わり、スーパーコンピューティングの利活用に貢献すべきである。そのための方策策定も最終年度に行うべきことであろう。
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