研究領域 | 生合成マシナリー:生物活性物質構造多様性創出システムの解明と制御 |
研究課題/領域番号 |
22108001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
及川 英秋 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00185175)
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研究分担者 |
齊藤 和季 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (00146705)
石川 淳 国立感染症研究所, 真菌部第四室, 室長 (40202957)
阿部 郁朗 東京大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (40305496)
江口 正 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (60201365)
五味 勝也 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60302197)
池田 治生 北里大学, 大学院感染制御科学府・北里生命科学研究所, 教授 (90159632)
金谷 重彦 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (90224584)
大利 徹 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70264679)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 生合成 / ゲノム情報 / 物質生産 / バイオインフォマティクス / メタボローム / 二次代謝産物 / 抗生物質 / 抗腫瘍性物質 |
研究実績の概要 |
昨年度の成果に引き続き、A01/A02の共同研究として麹菌を用いた異種遺伝子発現系を用いたさらなる物質生産が検討された。今回生合成遺伝子数は6個が必要となり、より難易度が高いテルペン-アルカロイドのハイブリッド化合物であるパキシリンを、30 mg/Lと十分量生産することに成功した。この過程でインドール骨格へのゲラニルゲラニル基の導入、エポキシ化-環化を繰り返して行なう変換等、新規変換反応を見出すとともに、少ないベクター数で多数の遺伝子を導入する方法が開発された。このほか公開されたゲノム情報を用いた機能未知遺伝子を任意に選択し、麹菌遺伝子発現系を利用した物質生産が検討され、オフィオボリンFの合成とともに世界初のC25のテルペン環化酵素を見出すことに成功した。これにより本手法のさらなる汎用性を実証できた。A02班では、多数の生物活性天然物の供給源である放線菌を用いた発現系の整備が進み、巨大な生合成遺伝子群の発現を実現するべく開発されたシステムを用いて、レベッカマシン、ラクタシスチン、フォリポマシンなど多様な化合物群の生産に成功している。 本領域(A03)で開発された生合成経路データベースMotorcycleにテルペノイドを中心としたデータを集め公開した。植物の生産する天然物の生合成経路の決定に重要な生合成遺伝子のマイニングについて、遺伝子発現プロファイルとメタボロミクスを組み合わせた手法を駆使して、抗ガン剤カンプトテシンやキノリチジンアルカロイドにおける鍵酵素が同定された。今後これら遺伝子を手がかりに経路全容が明らかになるものと予想される。領域の研究期間の中間となるため、世界から著名な研究者を招き、国際シンポジウムを行なった。領域メンバーによる発表を通し、成果を国外研究者に発信できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
汎用宿主への生合成遺伝子の逐次導入法、一挙導入法ともに、A02班とA01班、A03班の共同研究の成果として、糸状菌やグラム陽性細菌の有用物質に関する合成例が増えてきた。またA03班では、班内共同研究の結果、供給量に問題のある生薬甘草の有効成分生合成遺伝子が同定されるなど、着実に成果が上がりつつある。中間評価では、これらの点が評価され、A評価を頂いた。 物質生産の面での達成度は80%、多様性創出の面では50%であろう。
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今後の研究の推進方策 |
これまでと同様、6月と11月に公開シンポジウムを開催して成果発表や班員交流の場を提供する。班員の情報交換の場として開設したWebフォーラムを活用して有用情報を提供する。生合成マシナリー札幌セミナーなど地域密着型の講演会や、海外から著名講演者による特別 講演会を行ない、班員の啓蒙を諮る。若手活性化のため、若手シンポジウムの開催やDC学生の海 外開催学会への参加の補助など行なう。領域の広報活動として、常時HPからの情報発信を行う。 領域全体および班員の活動や成果をニュースレター、成果報告書として配布する。次年度からの新規活動として、領域研究者が持っている公開可能な、技術移転可能な手法を取り上げ、開発者から講習を受ける機会を設けたい。また既に公開しているデータベースを充実させるため、領域の構成員が得意な部分の入力サポートを行う予定である。
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