総括班
本領域の総括班は、A01天然物の酵素合成と代表的反応機構の解析;A02生合成酵素遺伝子発現系開発;A03天然物設計図解読の連携や共同研究支援と領域メンバーの成果発表や交流などのため、様々な企画を行った。A03班の金谷らによって開発された代謝経路データベースMotorcycleは論文化され公開されている。また同班の石川による生合成遺伝子クラスター同定ツール2ndFindは、真核生物のゲノムデータ取り扱えるように改良され、順調にアクセス数を増加されている。A02班の池田らによって開発された放線菌ゲノム縮小株を使った天然物生産は、80 kbと巨大なサイズの遺伝子クラスターを持つleptmycinの生産に成功する等その適用範囲が広がっている。同班の五味による麹菌による異種発現系は、A01班の及川、阿部らが利用し多数遺伝子の同時導入により7-14個の遺伝子を持つ化合物の合成に成功する等、汎用性の確立ができつつある。池田らの発現法は広く班員に活用してもらうため、遺伝子組換え講習会を開催し、技術移転を行った。A01班の班員は、ペプチド合成、環状ポリエーテルの骨格構築や細菌の新規メナキノン生合成等の特異なあるいは普遍的な新規酵素反応機構の解析を行い、顕著な業績をあげた。いずれも各班の共同研究あるいは研究手法を活用したもので、新領域ならではの成果である。若手支援として、海外学会参加補助、若手シンポジウムさらには本年度新たな試みとして行った若手研究者が企画、開催したミニ国際シンポジウムなど積極的に行っている。このほか班員が企画したシンポジウムへの補助も多数行った。今年度は、公募研究者は合計28名のうち新たに12名が加わるなど大幅に入れ替った。年二回の公開シンポジウムや班会議などの機会を通じ、これらメンバーとの交流も行い、研究領域の拡大も積極的に行っている。
2: おおむね順調に進展している
研究手法の開発およびそれを適用した研究を計画班員を中心に進め、成果をあげるとともに、技術講習会で領域メンバーに提供するよう務めた。データベースやWebツールの情報提供は、公開シンポジウムで積極的に紹介するとともに、Web上に公開し一般の利用に供している。微生物由来の天然物の異種発現による天然物の酵素合成は、次第に合成例が増えると同時に、発現法の問題点なども明らかになってきた。若手育成では、若手がすべてを企画して運営する定例シンポジウムや国際シンポジウムなどを通して、班員のみならず関連研究者との交流を深めるとともに情報交換し、共同研究を展開する機会を提供した。このような活動を通じて、本研究領域が次第に認知されているものと考える。
4年間で行なった領域活動を通して、オミクス情報から天然物の設計図解読、発現システムの提供、さらにはそれを用いた天然物の合成は、現実的な方法論となりつつある。今後これまで作成した生合成マシナリー系を利用した生物が行なっている構造多様性創出機構の解明に取り組む必要がある。また天然物合成が細胞内のどこで行なわれているか等、効率良い生産を狙った方法論の開発を、関連研究者と交流を行ないながら、模索していく必要がある。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 7件) 図書 (1件) 備考 (2件) 産業財産権 (1件)
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