研究領域 | 電磁メタマテリアル |
研究課題/領域番号 |
22109001
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
萩行 正憲 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センタ, 教授 (10144429)
|
研究分担者 |
石原 照也 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60168250)
迫田 和彰 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (90250513)
田中 拓男 独立行政法人理化学研究所, その他部局等, 研究員 (40283733)
北野 正雄 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70115830)
真田 篤志 山口大学, 理工学研究科, 教授 (20264905)
|
キーワード | メタマテリアル / 有効誘電率 / 有効透磁率 / 負の屈折率 / 左手系媒質 / 透明マント |
研究概要 |
領域の発足2年目であり、公募班12件(後1件が事情により1年で中断・終了)が採択されて、研究が本格的にスタートした。各研究者への平成23年3月11日の大震災の影響は比較的小さかったが、東北大関係者は一時実験装置などが使用不可能となり、研究者・学生を領域内の他の研究室に受け入れるなどの支援が行われた。 平成23年8月に第1回の全体会議が開催され、計画研究並びに公募研究の現状と将来計画について議論がなされた。平成24年3月には、平成23年3月11日の第1回公開講演会に引き続き、欧米の著名なメタマテリアル研究者を招待して第2回公開講演会が開催され、企業の研究者や学生を含み300名以上の聴衆が集まり熱心な議論がなされた。この分野の初心者に向けたチュートリアル講演も開催され、テキストが配布された。ウェブページの立ち上げとニューズレターの発行も開始された。 平成23年7月には韓国ソウルの梨花女子大にて、第1回日韓メタマテリアルフォーラムが3日間開催され、100名以上の参加者を得て、熱心な議論がなされた。この会議は、日韓交替で毎年開催される予定である。大震災のため延期となった、国際シンポジウム「テラヘルツテクノロジーの最前線 (FTT 2012)」が本領域代表者を議長として奈良で開催され、領域主催のマイクロ波・テラヘルツ波メタマテリアルセッションが持たれた。 計画研究者会議が適宜行われ、領域の進め方について議論した。また、応用面での研究を効率的に進めるために、学振先導的研究開発委員会「メタマテリアルの開発と応用」との連携を図った。国際会議に参加したメンバーにより、海外の研究動向が紹介された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我が国では、メタマテリアルの組織的研究プロジェクトのスタートが欧米に比べて数年遅れたため、まずは、メタマテリアルに関する社会的認知が大切と考え、毎年公開講演会を行っている。幸い社会的反響は大きく、毎回、定員を上回る申し込みがあり、一部お断りしているのが現状である。その意味では、上記の目的は達成されつつあると考える。研究自体については、順調なスタートが切られたが、世界をリードしていくまでには今少し時間がかかると思われる。本領域メンバーは、マイクロ波における伝送線理論やカイラルマテリアルにおけるカイラル真空の理論、気体プラズマメタマテリアル、テラヘルツ領域における超微細インクジェットプリンタによる試料作製、高強度のテラヘルツ波発生と制御、二光子吸収を用いた3次元ナノ構造物の作製、世界最小の金属/絶縁体/金属共振器、金属開孔配列における横起電力効果などのユニークな研究実績を有しており、その実績に基づいて、着実に研究が進展している。 領域内でいくつかの共同研究がスタートするとともに、MEMS、自由電子レーザー、化学合成、などのコミュニティとの連携もなされつつあり、一部では成果も出てきた。我が国のメタマテリアルコミュニティは着実に増大していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
先に述べたように、我が国のメタマテリアルプロジェクトは欧米に比べて数年遅れてスタートした。領域代表者は15年ほど前に、テラヘルツ技術とその応用に関する科研費特定領域研究の領域代表者を務めた経験があるが、その研究プロジェクトがスタートした時点ではテラヘルツ技術の研究は、欧米に比べて数年遅れていた。しかし、プロジェクト終了時は、領域内でいくつかの日本固有の研究が大きく進展するとともに、領域外でも欧米に匹敵あるいはリードする研究がいくつか現れた。この経験からすると、メタマテリアル研究においても、領域内の我が国のユニークな研究をさらに発展させるとともに、メタマテリアル研究のすそ野を広げることもまた非常に大事であると確信している。そのためには、様々な学会でメタマテリアルを紹介して研究者人口を増やしたり、領域外のメタマテリアル研究を領域内のメンバーが援助したりすることが必要である。また、全体会議をテキストなども含めてより充実するとともに、試料作製、測定、シミュレーションなどについて、領域内の研究者が対応できる窓口を作りたいと考えている。
|