総括班
『シナプス・サーキットパソロジーの創成』総括班として、領域基盤整備について以下の活動を行った。夏の班会議を新学術領域『包括脳』と協力して包括脳夏のワークショップにおいて行い、冬の班会議を独自に開催した。これらを通じて班員間の研究の相互理解と共同研究の推進を図り、結果として23件のボトムアップの班内共同研究が進行中である。うち2件については国際学術誌PloS Genetics,PloS ONEに成果が報告された。また、若手研究者の育成にも2光子顕微鏡講習会を3回、iPS細胞講習会を1回、研究代表者および計画班員・林、井上を中心に開催し、約50名の参加を得た。これにより、2光子顕微鏡を用いた共同研究が2件、iPS細胞を用いた共同研究が2件新たに始まった。プレスリリースは10件でありNature,Cell姉妹誌などに掲載された。計画班員および公募班員によるによるアウトリーチ活動もさかんであり計15件が行われた。さらに領域研究の中核危機となる2光子顕微鏡の立ち上げを行い生きたマウスからの深部脳蛍光画像の取得が可能となった。循環呼吸等による画質のゆれを抑える点が技術的な壁であり、さらに方策を検討している。公募班員の郭、西頭、計画班員の井上と領域代表者・岡澤の間で、脊髄のin vivo imaging、iPS細胞移植後のin vivo imagingの共同研究が進行し、さらに岡澤と公募班員・村松の間でAAVベクターを用いたマウス疾患脳のシナプス病態の検討が進行中である。
1: 当初の計画以上に進展している
シナプスあるいはニューロサーキット(神経回路)の研究は、これまで基礎研究者を中心に行われ、これらに興味を持つ病態研究者との研究交流は極めて希薄であった。本新学術領域研究によって人的交流が活発化して26件におよぶ共同研究が生まれ、一部は既に論文として報告されている。領域全体としての論文総数は278件であり、インパクトファクター合計は1361.3でありNature論文40報に匹敵する。今後、領域から独自に生まれたシナプス・ニューロサーキットの病態解明と治療開発の研究が多く発信できると確信している。
研究者間の交流と共同研究の促進に務めたい。班員はいずれも第一線の研究者であり、研究機関の本務も極めで忙しい。したがって、SNSでグループを作ってそこに投稿出来るシステムなどを工夫したい。一方で、秘密保持の点では現在存在するどのSNSも不完全であり、特許取得時の公開性にも絡んでくる。これは慎重に進めたい。2光子顕微鏡については、スライス標本培養などを用いたものは数多くの報告があるが、生きたマウスを顕微鏡に頭蓋骨を固定して、学習や薬剤などの変化をライブイメージングする方法は確立していない。総括班でこれを計画研究者の林とともに実現を急ぎたい。これによって班員全体の研究の可能性が大幅に広がるものと考えている。またiPS技術についてもより多くの班員が用いて研究をチャレンジするように促したい。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (9件) 図書 (4件) 産業財産権 (3件) (うち外国 3件)
Hum Mol Genet.
巻: 5 ページ: 1099-1110
10.1093/hmg/ddr539
PLoS One
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巻: 6 ページ: e27408
doi:10.1371/journal.pone.0027408
Biopbys J
巻: (in press)