総括班
植物は、移動可能な動物と比較して、より過酷な光、温度、水分などの環境の変化にさらされているが、特殊化した感覚器官を発達させることなく巧みにこれに対応している。本領域では、植物環境応答分野、植物細胞生物学分野、細胞解析技術分野などの研究者が緊密に連携し、植物細胞に対する新規技術を開発するとともに、これをいちはやく実際の研究に応用し、植物科学分野における全く新しい研究領域を切り拓く。この目的に従い、領域としての活動を統括するために総括班を置いた。総括班では、昨年度に引き続き、異分野の研究者による共同研究が円滑に進行するよう、計画研究の各班の研究内容、実験材料、技術などについて、相互理解のための場を様々な形で提供した。特に公募研究については、領域の目標達成に向けた意思の統一を図るとともに、実際の共同研究が円滑に進行するよう環境整備に努めた。また、A03班の成果を公募研班への普及を進めるため、質量顕微鏡および一細胞遺伝子発現計測について、班員を対象とするワークショップを開催した。また、計画班を中心に技術開発のための植物材料供給を行った。さらに、班員全体を対象に、トランスクリプトーム、プロテオーム、メタボローム、イメージング技術支援のためのサービスを行った。会議等については、研究の進捗状況を定期的に確認し情報を交換するための班会議を2回、大学院生を含む若手の研究交流の場として合宿形式の若手の会を1回、開催した。また、ニュースレター、ホームページを通じて、新しい技術手法の応用可能性を広く植物科学分野に衆知させた。さらに、国内学会の開催に合わせてシンポジウムを複数回開催した。
2: おおむね順調に進展している
交付申請書にある以下の項目については、概ね目的が達成されたと考えている。(1)班会議、若手の会などの開催。(2)新技術の班員への普及と研究支援。(3)ホームページ、ニュースレターを利用した領域内外への情報発信。(4)領域内外の研究者に向けたシンポジウム等の開催。特に(2)については、昨年度に引き続き技術系ワークショップを開催し、班員から好評を得た。現在、新技術の方法や応用例に関する原著論文を、それぞれの技術について準備中であり、来年度にはそれらが専門誌に掲載されることが期待される。また、領域内では、これらの技術に関わるものも含めて100を超える共同研究が進行中であり、最終年に向けて様々な成果が期待される。ただし、領域内連携に直接関連する成果の論文発表については遅れが見られるので、論文発表を強く支援し促す必要がある。また、開発が進んだ技術を関連分野全体に還元すべく、領域外への情報発信についてもさらに努める必要がある。
領域の活動もいよいよ来年は最終年度を迎える。これまでの活動により、新技術開発に一定の目処がたち、領域内の共同研究も活発化することができたと自負している。研究をまとめるにあたっては、当初の計画に従った活動を進めつつ、班会議での議論などを通じて分野の将来像を明確化し、領域としての研究の収斂を図りたい。特に、この領域を特徴付けている新技術については、班会議や分科会などを開催し、領域内の連携体制を十二分に活用しつつ、応用研究の発展を引き続き図る。また、これらの成果を当該分野に還元すべく、領域外への情報発信に努める。このための第一の方法として、新技術の開発と応用に関する原著論文の発表を強く促し、必要なサポートをする。これを具現化する活動の一つとして、学会誌等と連携して領域の活動に関する特集号を刊行することを検討する。また、ホームページ、ニュースレター、シンポジウムなどに加え、当初より共同運営しているオルガネラ・データベースなども活用し、新技術の開発状況について領域外へ強力に情報発信する。さらに、最終年度であることを勘案し、年度末には海外から講演者を招待し国際シンポジウムを開催する。
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すべて 雑誌論文 (18件) (うち査読あり 17件) 学会発表 (18件) (うち招待講演 9件) 図書 (1件) 備考 (3件)
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