研究概要 |
本研究では,(1)次世代シーケンサーをコアとする最先端のゲノム解析技術研究,(2)次世代シーケンサーによって産出される膨大な情報に対する最先端のインフォマティクス研究,(3)ヒトの代表的な脳疾患(アルツハイマー病,パーキンソン病,筋萎縮性側索硬化症,脊髄小脳変性症,統合失調症など)の高精度の全ゲノム配列解析(パーソナルゲノム解析)に基づいて,疾患の発症に関与するゲノムの多様性を明らかにし,発症機構を解明,治療法開発の基盤構築の実現をめざすことを目的としている.これまでに,HiSeq2000(Illumina),5500XL(Life Technologies),Pacific Biosciencesという次世代シーケンサーの導入整備を完了し,解析に必要なインフォマティクスのパイプラインの整備も進めた.本年度2回の研究班会議を開催し,パーソナルゲノム解析に基づく,神経・精神疾患の発症に関連するゲノム上のvariationの探索に関する研究手法についての検討を行った.一方,exome解析,全ゲノム解析に基づく,ゲノムvariationの検出に関して,いかに精度を高めるかという技術的な課題についても検討を行った.日本人ゲノムの参照配列の整備,日本人ゲノムのvariation databaseに作成をめざして,全ゲノム配列解析,exome配列解析のデータ収集を進めている.日本人ゲノムの参照配列の整備については,Pacific Biosciencesのシーケンサーを用いて,8-10kbp程度のlong readのデータを集積し,HiSeq2000によるerror補正とあわせることで,構造多型を含めた高精度な日本人ゲノムの参照配列の構築を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
全ゲノム解析,exome解析のデータから,高精度にvariationを検出するゲノムインフォマティクスパイプラインのさらなる改良を進める.高精度の日本人ゲノム参照配列の整備,日本人ゲノムのvariation databaseの構築を進めるとともに,神経疾患に関連するゲノム上のvariationの探索を進める.
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