総括班
本研究では,①次世代シーケンサーをコアとする最先端のゲノム解析技術研究,②次世代シーケンサーによって産出される膨大な情報に対する最先端のインフォマティクス研究,③ヒトの代表的な脳疾患(アルツハイマー病,パーキンソン病,筋萎縮性側索硬化症,脊髄小脳変性症,統合失調症など)の高精度の全ゲノム配列解析(パーソナルゲノム解析)に基づいて,疾患の発症に関与するゲノムの多様性を明らかにし,発症機構を解明,治療法開発の基盤構築の実現をめざすことを目的としている.これまでに,次世代シーケンサーの導入整備,解析に必要なインフォマティクスのパイプラインの整備を進めた.本年度,2回の研究班会議を開催し,パーソナルゲノム解析に基づく,神経・精神疾患の発症に関連するゲノム上のvariationの探索に関する研究手法についての検討を行った.神経疾患の発症機構として,非コード領域のrepeat motifの異常伸長が注目されるようになっているが,次世代シーケンサーによる検出は困難であったために,新たに解析のためのアルゴリズムを開発し,それぞれの研究班でその応用研究を進めた.孤発性疾患に対しては,common disease-multiple rare variants仮説に立つアプローチが重要になっているが,rare variantsを用いる場合十分な統計学的な検出力を達成しにくいという課題があり,その解決に向けての検討を進めた.このような研究において重要となる,日本人ゲノムのvariation database の作成を続けており,in-house databaseが整備され,現在,National Bioscience Database Center (NBDC) からの公開に向けての作業を進めている.
2: おおむね順調に進展している
パーソナルゲノム解析に基づいて,脳疾患の発症に関与するゲノムの多様性を明らかにし,発症機構を解明する研究は,ゲノムシーケンシング,ゲノムインフォマティクスのパイプラインが整備され,順調に展開している.
整備された次世代シーケンサー,インフォマティクスパイプラインを研究班内で有効に活用して,研究推進をめざす.長鎖DNA分子の配列解析が可能なPacBio RSを活用した,expanded repeat motifsの検出方法の開発を進め,研究班内で活用し,研究推進をはかる.
すべて 2012 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 備考 (2件)
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