研究領域 | パーソナルゲノム情報に基づく脳疾患メカニズムの解明 |
研究課題/領域番号 |
22129001
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
辻 省次 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (70150612)
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研究分担者 |
豊田 敦 国立遺伝学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 特任准教授 (10267495)
森下 真一 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (90292854)
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研究期間 (年度) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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キーワード | ゲノム / 個人ゲノム / 脳疾患 / インフォマティクス / シーケンサー |
研究概要 |
本研究の目的は,全ゲノムの塩基配列の解析(パーソナルゲノム解析)に基づいて脳疾患の発症に関与するゲノム要因 (genetic variants) を網羅的に明らかにし,脳疾患の病態メカニズムの解明を実現することにある.平成25年度の研究では,exome解析,全ゲノム配列解析から見出されるvariantsのcallにおける,感度,特異度に関する研究を行い,インフォマティクスパイプラインのさらなる高精度化を行った.さらに,トリオ解析における新生突然変異の検出のための高精度のパイプラインの整備を進め,このパイプラインを用いることにより,2つの遺伝子で新生突然変異を見出し,いずれも疾患発症につながる変異であることを示した.神経疾患においては,非コード領域のリピート配列の異常伸長が疾患発症の原因となっていることが見出されてきており,次世代シーケンサーを用いた解析で得られるshort readの中から,異常伸長したリピート配列を検出する新たなアルゴリズムを開発し,このアルゴリズムを用いて,領域内で広く異常伸長したリピートの探索を進めている.ゲノム上のvariantsの中でいずれが疾患発症に関与するかを解釈する上で日本人ゲノム配列の多様性に関するデータベースが必須であるので,500名規模の健常者について,一定の条件で精度の高いvariantsのcallを行い,in-house databaseを構築し,ゲノム上のvariantsの医学的解釈に活用できるように整備をした.その結果,日本人集団におけるMAF (minor allele frequency) に基づくさまざまな解析が可能になった.さらに,次世代シーケンサーを用いて,構造多型の解析,ゲノム全域のメチル化の解析についても新たなアルゴリズムの開発を進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ゲノム解析パイプラインが整備され,脳疾患の発症に関わる遺伝子の発見が想定以上に進展した.次世代シーケンサーで得られたshort readから異常リピート伸長を検出するアルゴリズム,トリオ解析における新生突然変異,構造多型,メチル化解析のためのパイプラインの整備が進んだ.
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今後の研究の推進方策 |
次世代シーケンサーの解析パイプライン,インフォマティクスパイプラインが整備され,想定以上に解析が進んでいる.さらに,新生突然変異,異常リピート伸長の検出,構造多型,メチル化解析などのパイプラインが整備され,今後,神経疾患の発症に関与するゲノム上の変異の探索に応用し,脳疾患の発症メカニズムの解明を進めていく.
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