総括班
研究分野の枠組みを越えた統合的HLA研究を展開し、総括班による調整・企画・広報・評価、研究支援活動のもと、平成26年度は以下の成果を得た。A01では、椎名がHLA領域リシークエンシングによる高解像度HLAタイピング法を開発し、今西がHLA統合データベース「The HLA Information Resource (HLA-IR)」を構築し公開した。また、山本はHLAのアレル間で異なるDNAメチル化状態を同定し、その生理学的意義の解明を進めている。A02では、横山がA04笹月と連携し、スギ花粉症抗原Cryj1由来ペプチドとHLA-DP5分子の複合体立体構造の解明に成功し、ペプチドN末端がHLA・ペプチド複合体の集合様式を制御することを発見した。宮寺はA04徳永と連携し、自己免疫疾患発症におけるHLA分子ヘテロダイマーの安定性の意義を解明した。また西村はヘルパーT細胞とキラーT細胞の両者を誘導するペプチドワクチンの樹立に成功した。A03では、颯田がHLA-DRB1系統間でペプチド結合部位の非同義置換の置換率に多様性があることを明らかにした。A04では、徳永がナルコレプシーの新規感受性遺伝子座を同定するとともに、SNPによる高精度のHLA-imputation法を開発した。森島は非血縁者間骨髄移植におけるHLA-C、-DPB1ミスマッチの白血病再発抑制効果を解明し、水木はベーチェット病発症におけるHLA-B51とERAP遺伝子多型の相互作用を解明した。笹月は臨床情報の詳細な解析からグレーブス病においてHLA-DP5が抗Tg抗体、抗TPO抗体産生を抑制するという知見を得、DP5を介したグレーブス病発症の新規分子機序の解明を進めている。今後、これらの研究をさらに深化させるとともに、HLA統合データベースのさらなる向上、成果の社会への発信を推進し、HLA生成の進化学的謎、および予防・治療法のない難治性免疫疾患の解明とHLA分子標的治療法の開拓という二大課題の解明を目指す。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件) 備考 (2件)
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