研究領域 | 統合的多階層生体機能学領域の確立とその応用 |
研究課題/領域番号 |
22136001
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
倉智 嘉久 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30142011)
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研究分担者 |
井上 隆司 福岡大学, 医学部, 教授 (30232573)
山下 富義 京都大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (30243041)
鈴木 洋史 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80206523)
北野 宏明 沖縄科学技術大学院大学, その他の研究科, 教授 (80500256)
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研究期間 (年度) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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キーワード | システム生物学 / 生理学 / 生物物理 / 心臓 / 不整脈 / 薬物動態 / 全身循環 / 代謝 |
研究概要 |
四年目を迎えた本年度も領域代表者を中心とする総括班で領域を運営し、本領域で開発している研究プラットフォームの国際標準化に向けた普及活動と、多階層生体システムにおけるシステム理論の研究が領域をあげて実施された。 総括班会議は計4回開催し、領域運営や共同研究の推進の方策を議論した。重要なプロジェクトには、各班から選抜された班員によりタスクフォースを結成し、総括班統括の下、プロジェクトが進められた。心臓の電気現象を再現する多階層モデルと薬物の体内動態モデルを統合した領域のフラッグシップモデルの構築、薬物の心臓に対する作用のコンピュータシミュレーション、結果の可視化までの全過程を領域プラットフォーム上で実現できることを本年度に確認した。消化管における薬物の吸収および代謝過程や心臓の電気現象など、生体の多階層性により創発される機能が研究できる基盤技術がほぼ完成されたといえる成果である。 本年度の開始直後には、公募研究、特に後期から加わった第二期メンバーと研究計画に関する議論を行い、さらにメンバー間のネットワークを構築した。来年度最終年度を迎える本領域が、発足当初からのコミットメントを確実に達成するため、年度の前期と後期に領域全体会議を開催した。領域の研究進捗状況を把握し課題に対する議論を実施した。 領域全体会議とは別に、次世代研究者の育成を目的とした若手ワークショップを開催した。本ワークショップでは、ポスドクや大学院生等による研究発表に加え、背景の異なる複数の研究者からなるグループで、共同研究テーマとその研究計画を立案するという課題発見型ワークショップを実施した。 またさらに班員が中心となるシンポジウムを関連学会で計8回実施し、研究成果の発信に努めた。 領域ホームページにおいて領域メンバーによる最新の研究成果や関連学会の近状を報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該領域は、「5年以内に心臓/循環器系の電気現象の分子から生体レベルまでの垂直統合モデルと全身薬物動態の分子レベルモデルを統合した、創薬ならびに臨床への応用が期待できる統合モデルの構築と解析を可能にするプラットフォームを実現する」ことをコミットメントしている。領域総括班である本課題の研究目的は、領域目標を達成するために三つの研究項目からなる領域を運営することにある。国際的な連携も順調に進展しており、研究プラットフォームの国際標準化に向けた取り組みについてはかなり明るい見通しであると考えられる。また、wet-dryの連携研究が活発に進められており、本課題は「おおむね順調に進展している」と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね順調に進展している本課題では、研究を推進する上での重大な問題点は認められない。当初の計画以上の進展を目指し、シミュレーションプラットフォームの普及戦略、デベロッパーズミーティングの実施や研究成果のより積極的な発信に努める。また多階層生体システムにおけるシステム理論に関する議論を行い、本研究領域で取り上げている心臓や薬物動態以外の研究者にも波及するような汎用性のある成果の発信を目指す。さらに、本領域研究終了後も本領域メンバーが統合的生命科学分野で大きな成果を上げ続けることを本領域では目指している。それを担う、若手研究者の育成のため、スキルアップや人的交流の機会を提供する。成果の発表、HP上での成果の解説、公開シンポジウムの開催、より平易な言葉での領域の研究がもたらす未来を説明する書籍の執筆や高校生など一般向けの出張講義等を実施し、より一層社会への貢献に努めていく。
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