研究領域 | 貧困学の確立:分断を超えて |
研究課題/領域番号 |
22H05097
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
阿部 彩 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (60415817)
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研究分担者 |
可知 悠子 北里大学, 医学部, 非常勤講師 (10579337)
山本 直子 東洋英和女学院大学, 国際社会学部, 講師 (10817208)
松本 伊智朗 北海道大学, 教育学研究院, 特任教授 (20199863)
大石 亜希子 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 教授 (20415821)
末冨 芳 日本大学, 文理学部, 教授 (40363296)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2027-03-31
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キーワード | 貧困 / 社会政策 / 地域格差 |
研究実績の概要 |
本研究は、学術変革領域(A)の総括班として、領域全体の意思決定、公募研究の諸手続き、各研究計画および公募研究の連携、また、一般市民・マスコミ・政治家などへの情報発信、自治体との連携および政策提言などを行う役割を担っている。2022年度は以下の通り:(1)領域研究会:全体キックオフの公開シンポジウムを2022年12月16日に行った。参加者は、226名であった(2)一般向けの公開研究会の開催:2022年度は計6回行い、のべ531人の参加者(特別区協議会69名、官公庁職員21名、大学・研究機関の研究者131名、学生・院生114名、メディア22名、一般146名、不明28名)の参加を得た。 また、2023年度の繰越分については、A01班がアジア6カ国共同にて行っている福祉国家比較研究の集大成として行うはずであった対面の国際ワークショップが、開催地の国立台湾大学の新型コロナウイルス感染拡大に関する方針により年度内には叶わず、2023年4月に延期することとなったため繰越を申請した。国際会議は東京都立大学と国立台湾大学との共催にて2023年4月に無事開催され、両大学のほか、国立ソウル大学、国立シンガポール大学などの国際共同研究のメンバーのみならず、台湾内外の多数の大学から研究者が参集した(約80名)。ここでの報告の内容は、2023年度に論文にまとめられ、学会誌に投稿されている(うち1本は既に国際ジャーナルより刊行されている(2024年5月))。 また、4月に行われた国際ワークショップでは、若手研究者ワークショップも開催し、日本、韓国、台湾の若手研究者(主に博士後期課程の院生、約15名)らがそれぞれの研究内容を報告し、交流を行った。彼らにとっては、初めての国際ワークショップであったが、若手研究者のみのワークショップであったことから通常の国際学会よりも敷居が低く、非常に活発な研究交流であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度のキックオフ・公開シンポジウム後、2カ月に1回のペースで領域研究会および公開研究会を行っており、総括班の大きな役割の一つである各研究計画+公募研究のインテグレーションは順調に進展している。繰り越し分で行われた国際シンポジウムは、無事に開催され、大きな反響を得た。同時に、それまではオンラインで相談しながらの共同研究であり、月に1回という頻度で会議がなされていたものの、対面で得ることができるより強い絆のもとの交流は行うことができていなかった。2023年4月に行われた国際シンポジウムは、初めて、すべての共同研究者が一堂に会し、対面で3日間を過ごすことできた機会であり、その後の共同研究のスムーズな進捗を促すこととなった。2023年のシンポジウム後に、共同研究のペースが飛躍的に早くなり、その成果を2024年6月の国際会議にて報告することができるようになった。また、これらの報告はすべて国際ジャーナルに投稿されており、そのうち1本は既にacceptが決定している。その他についても、レビュー中である。
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今後の研究の推進方策 |
総括班の役割は、1)各班の研究成果をとりまとめ、一つの学問として発信すること、2)貧困の共通認識の醸成をすること、3)異なる学術領域の横の繋がりを育成すること、4)領域全体の対自治体・対マスコミ等のフロントである。 情報発信については、1)一般向けの子どもの貧困学術研究会(2か月に1回)の開催、2)自治体との連携および政策提言、3)ホームページによる研究成果の発信、4)マスコミへの対応、5)政治家のレク、などの活動を、引き続き行う。 繰越分で行われた国際シンポジウムの母体である国際共同研究については、以下を行う方針である。まず、2025年6月に行われるEast Asia Social Policy Network(EASP)の第20回大会/Foundation for International Studies of Social Security (FISS)第30回大会の合同国際会議(場所:国立京都国際会館)にて、本プロジェクト主催のシンポジウムを行う。このシンポジウムにおいては、2023年4月からの共同研究が4つの報告にまとめられで発表される。報告の内容は、公的扶助(Public Assistance)、公的医療制度(Public Medical Assistance)、公的保育支援(Public child care)、公的扶助の地域差(Welfare variations within country)についてであり、8名の研究者の協働研究の成果である。次に、研究の推進方針としては、これまでは東アジア諸国に比較が伴っていたが、後進の福祉国家としての他国(中南米、中東、アフリカ等)をモデル・ファミリー・データベースに組み込んでいくこと、そして、既に、構築されているヨーロッパ諸国のモデル・ファミリー・データベースとの比較から、福祉国家論に一石を投じることを目指す。
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