研究領域 | 現代文明の基層としての古代西アジア文明―文明の衝突論を克服するために― |
研究課題/領域番号 |
24101001
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
常木 晃 筑波大学, 人文社会系, 教授 (70192648)
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研究分担者 |
山田 重郎 筑波大学, 人文社会系, 教授 (30323223)
久田 健一郎 筑波大学, 生命環境系, 教授 (50156585)
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研究期間 (年度) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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キーワード | 西アジア文明学 / 古代西アジア文明 / 現代文明の基層 / 文明の衝突 / 人類史の転換点 |
研究実績の概要 |
本新学術領域研究の目的は、古代西アジア文明がなぜ現代文明にまで繋がる先進性と普遍性を持ちえたのかを解明するための研究プラットフォームを創り上げ、西アジア文明研究を基盤とした深い相互理解に基づく新たな文明像を提案することにあります。そのために総括班は、各計画研究班・公募研究班が行う研究会、シンポジウムを強力にバックアップ、コーディネートし、領域を横断する国際シンポジウムを開催し、領域の活動を広報する任務を有しています。平成27年度中に開催した主な国際シンポジウムには、"Prehistory of Cappadocia: Asikli Hoyuk and the Pre-Pottery Neolithic in Central Anatolia","Non-structural lime-based injection grouts with reduced water content", "The Japanese Contribution to Kurdistan Archaeology", ”Cultures and Societies in the Middle Euphrates and Habur Areas in the Second Millennium BC: Calendars and Festivals"などがあり、主な研究会には『古代マヤ文明の広場』、『古代西アジア・北東アフリカ史における「政治」と「宗教」再考』、『タンパク質研究と文化遺産・考古学』、『カリフとイスラーム統治の千五百年-アブー・バクルからバグダーディーまで』、『イスラーム世界の指導者像を考え直す』、『中世イスラーム世界から見た古代』、『西アジア文化遺産の材質と保存状態に関する自然科学的な研究』などがあります。ニュースレターも第6,7号を出版し、若手研究者養成にも取り組みました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本新学術領域研究の目的達成のために、各計画研究班、公募研究班は懸命にそれぞれの研究活動を実施し、総括班はそれを強力にサポートしています。総括班が平成27年度にコーディネートしたシンポジウムは、国際シンポジウム3、国内シンポジウム1、研究会・講演会10にもおよび、また平成26年度に実施した大規模な領域横断シンポジウムの研究成果のとりまとめをおこないました。その成果は、平成28年夏にもSpringer社より、Ancient West Asian Civilization: Geoenvironment and Society in the Pre-Islamic Middle East として出版される予定です。そのほかに研究成果を一般に広報するために、いくつかの計画研究班が独自に、また連携して、研究成果の出版を計画中です。 さらに、計画研究班の一部は研究ばかりでなく、現在の中東の政治情勢のために直面してしまっている研究対象とする文化財の破壊の問題の改善に少しでも役立つように、昨年度に引き続いてシリアやイラクでの文化文化財保護問題に取り組んでいます。平成27年度は特に、ISによるモスル博物館の破壊の状況をイラクの人々やクルド人、日本人などに知ってもらうための広報活動を、イラク・スレイマニア大学の研究者や筑波大学に留学しているシリア人大学院生、また日本人大学院生など若手研究者の助力を得て実施しました(本領域ホームページに記載 http://rcwasia.hass.tsukuba.ac.jp/kaken/contents/research.html)。 現在、本領域最終年度である平成28年度にむけて、本領域の目的である西アジア文明学の構築に向けて、懸命な努力を継続しています。
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今後の研究の推進方策 |
本新学術領域の実施目的にむけて総括班が行っている作業は、方向性として正しいベクトルを示していると確信しています。平成28年8月には、平成26年度に実施した領域横断の大規模な領域横断シンポジウムの研究成果として、Springer社より、Ancient West Asian Civilization: Geoenvironment and Society in the Pre-Islamic Middle East が出版される予定です。また、各計画研究班、公募研究班は、それぞれ国際シンポジウム、研究集会、講演などを行い、研究成果の出版を目指していきます。例えば計画研究4は計画研究1や12と連携して、『西アジア・ザグロスを考古地質学で探る』の年度内出版を予定しています。また、計画研究3、6、8もそれぞれ研究成果を出版する計画を実施に移す準備をしています。 領域全体としては、最終年度の総括的な国際シンポジウム『西アジア文明学の創出II』"Facilitating the Study of West Asian Civilization" を2017年3月初旬に開催し、領域全体の研究成果をより明確に示していく所存です。それは、現在文明に大きな影響を与えた古代西アジア文明の先進性と普遍性を改めて問い直す作業となるはずで、この作業を通じて、西アジア文明を基盤とした深い相互理解に基づく新たな文明像を提案していくことになります。
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