研究領域 | 多面的アプローチの統合による計算限界の解明 |
研究課題/領域番号 |
24106001
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
渡辺 治 東京工業大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (80158617)
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研究期間 (年度) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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キーワード | 計算限界解明手法の開拓 / 多視点からの連携研究 / 若手研究者育成 / 国際研究者交流 |
研究実績の概要 |
本領域(略称,ELC = Exploring the Limit of Computations)の研究推進や成果の波及を目指して,以下のような活動を行った.これらの活動実施に関しては,領域会議,総括班会議を各 2 回開き,基本方針や計画を策定した上で,ELC 事務局と領域の計画班のメンバーが協力して実施にあたった. (1) これまでの研究の成果と今後の進め方についての検討:中間評価のために,これまでの研究の成果を総括する成果発表会を昨年度 3 月に行ったが,さらにその後の進展のまとめと今後の研究方針について,5 月の領域会議において議論した.中間評価後の 11 月の領域会議では,中間評価を受けて,今後の領域の方針について議論し,重要な共同研究課題の選定や成果の波及のための行動目標を策定した. (2) 若手育成ならびに啓蒙や成果の波及のための活動:若手研究者の育成のため,秋学校を 2 回行い,各々,40 名以上の参加者を得た.本領域の成果の波及をめざし,JST CREST の関連プロジェクトと応用面への連携を議論するワークショップを開催した.また,一般の方々への啓蒙のために,3 月 12 日に,サイエンスカフェを行った. (3) 計算限界研究センター(Center for ELC) を中心とした日常的な研究連携:センターを中心に,若手の育成をめざした勉強会を,ほぼ毎週 1 回のペースで行った.招聘した海外の研究者によるセミナーやミニワークショップを 9 回開催した.こうした活動では,本領域の各計画班で雇用した博士研究員が主体的な役割を果たした. (4) 国際的な情報発信・研究交流:各計画研究と共同で,5 回の国際研究集会を開き,合計で総括班として招聘研究者を 15 名招聘した.また,A03, B03 班が合同で進めてきた研究について,最新の動向を調査するために,米国 Simons Institute へ研究者を派遣した.さらに,SoCG, AQIS といった著名な国際会議の日本開催を後援し,Japanese-Swiss Workshop を共催した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
中間評価のために,領域全体で,これまでの研究の成果を総括したことにより,領域内での各研究の位置付けや関係を,領域の研究者全体で共有することができた.さらに,中間評価での様々な指摘を受けて,今後の研究方針を議論したことにより,今後,どのように研究を進展させていくか,さらに成果をどのように展開していくか,について大きな方針を得ることができた.そうした方針は,関連研究者との連携を目指した合同ワークショップの開催など,迅速に実行に移されつつある.また,博士研究員が力をつけて,様々な研究活動に中心的な役割を果たすようになってきた. 以上のことから,本年度の総括班としての活動は非常に順調だったと考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
計算限界研究センターを中心に様々な共同研究が行われ,博士研究員が重要な役割を果たすようになってきた.こうした若手を中心に,領域の研究者が指導している大学院生へと若手の育成を波及していく.また,欧州の理論計算機科学の最大の国際会議である ICALP 開催を契機にいくつかのサテライトワークショップを本領域で主催し,主要な国際会議の共催などを進めることで,本領域の活動報告,結果の啓蒙活動などを進めていく.また,中間評価において指摘された重要課題である成果の波及を真剣に考え,より実践的な分野と関連の深いアルゴリズム関係のプロジェクトとの連携を行い,共同シンポジウムなども開催していく.
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備考 |
日本学術振興会「ひらめきときめき サイエンス2014」(2014年7月31日)にて,連携研究者の山下茂氏が「光の不思議な性質とそれを利用した盗聴できない未来の暗号通信の原理の体得」と題した講演を行い,その中で本研究課題の紹介を行った。
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