総括班
新学術領域研究(研究領域提案型)
新学術領域「運動超分子マシナリーが織りなす調和と多様性」は各段階にある,‘運動超分子マシナリー研究’を推進し,最終的には原子レベルで解明することを目的としている.本領域の総括班は,「新学術領域」という研究費カテゴリーの存在意義を真剣に受けとめ,他の研究費では得られないシナジー効果を領域全体に与えることを目的とする.そのために,個々の研究班では対応しにくい活動,すなわち,(1) 運営方針の決定,(2) 領域内における交流の活性化,(3) 外部との交流の活性化,(4) 若手育成,(5) 技術開発・支援,(6) 啓発活動,を行なった.(5) については,サブナノメートルの可視化技術,すなわち,(i) クライオ電子線トモグラフィー,(ii) 急速凍結レプリカ電子顕微鏡法,(iii) 高速AFM,そしてこれらとは別に,有用だがまだ普及していない(iv) タンパク質の質量分析の活用を推進した.(6)については,本研究領域の主題である“生物の動き”を前面に掲げ,スマートフォンアプリケーション,3Dプリンター,Facebookなど,比較的新らしいメディアを積極的に取り入れた.
2: おおむね順調に進展している
研究実績の概要にあげたそれぞれの項目を以下の様に展開した.(1) 運営方針は日々の連絡,月1回のテレビ会議,の他に5回の実際の会合を行い,オープンな形で決定した.(2,3) 領域内および外部との交流の活性化を目的として,既存の学会などにおけるシンポジウムの開催を計13回行った.海外研究者15人を招へいし,領域関係者らと共同研究および議論を行った.2013年の生物物理学会には,当該分野に多大な貢献をした,ハーバード大のバーグ教授を約二週間に渡って招へいした.これらの行事は領域内のレポートとして領域全関係者で共有され,バーグ教授招へいについては,和文雑誌,「生物物理」に投稿中である.(4) 若手育成を目的として,領域が主催するシンポジウムなどで公募班代表の中から30-40代の研究者を優先してオーガナイザーや発表者に抜擢した.(5) クライオ電子線トモグラフィー技術開発を大阪大学と名古屋大学で展開した.急速凍結レプリカ電子顕微鏡法については,必要な機器一式,液化ヘリウム,を揃え,この技術で著名な内外の教授らの指導のもと,領域全体に完全にオープンな形で技術開発を行った.開発過程はFacebookにてリアルタイムに公開し,現在は第一報の論文が投稿直前である.タンパク質用の質量分析装置を大阪市立大学内に設置し,領域全体からの数千の試料を無償で解析した.高速AFM技術開発を,金沢大学の古寺准教授と領域各メンバーとの協力により行った.(6) 啓発活動として,領域に関係する細胞やタンパク質の立体模型を数百個を作製,提供し,その過程はFacebookにてリアルタイムに公開した.また細胞模型は,Journal of Bacteriologyの表紙として発表された.オンラインビデオライブラリーを作成した.また,スマートフォンアプリケーションとして,ビデオライブラリー,図鑑,ゲームを開発した.
研究実績の概要にあげたそれぞれの項目をさらに以下の様に展開する.(2,3) これまでと同様に,既存の学会などにおけるシンポジウムの開催と海外研究者の招へいを行う.領域メンバーの多くが参加する形でNature Reviews Microbiologyに総説を発表する.(4) これまでと同様に若手育成を行う.(5) クライオ電子線トモグラフィーについては,技術開発を加速するために,追加で利用できるクライオ電子顕微鏡を見つける.またよりオープンな形で事業を展開するために,学会発表などを行うとともにFacebookを活用する.急速凍結レプリカ電子顕微鏡法については,領域内各テーマへの綿密な技術提供を行い,早期に公表に値するデータを蓄積する,また,その過程はひきつづきFacebookにて公開する.さらに,今後もひきつづきタンパク質の質量分析の技術提供と,高速AFM技術開発を行う.(6) 啓発活動としては,今後もひきつづき領域に関係する細胞やタンパク質の立体模型を提供し,過程はFacebookにて公開する.また,開発した方法や実績を英文論文として発表する.オンラインビデオライブラリーの構築を加速するために,対応するビデオライブラリー,図鑑,ゲームなどのスマートフォンアプリケーションの開発をさらに進め,本年度における公開を行う.
すべて 2014 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 13件) 図書 (2件) 備考 (4件)
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