研究領域 | 運動超分子マシナリーが織りなす調和と多様性 |
研究課題/領域番号 |
24117001
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
宮田 真人 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (50209912)
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研究分担者 |
本間 道夫 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (50209342)
加藤 貴之 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (20423155)
伊藤 政博 東洋大学, 生命科学部, 教授 (80297738)
西坂 崇之 学習院大学, 理学部, 教授 (40359112) [辞退]
福森 義宏 金沢大学, その他部局等, その他 (60135655)
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研究期間 (年度) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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キーワード | 電子線クライオトモグラフィー / 急速凍結レプリカ法 / 電子顕微鏡 / スマートフォンアプリ / ビデオライブラリー / 質量分析 / 高速AFM / 3Dプリンター |
研究実績の概要 |
新学術領域「運動超分子マシナリーが織りなす調和と多様性」は各段階にある,‘運動超分子マシナリー研究’を推進し,最終的には原子レベルで解明することを目的としている.本領域の総括班は,「新学術領域」という研究費カテゴリーの存在意義を真摯に受けとめ,他の研究費では得られないシナジー効果を領域全体に与えることを目的とする.そのために,個々の研究班では対応しにくい活動,すなわち,(1) 運営方針の決定,(2) 領域内における交流の活性化,(3) 外部との交流の活性化,(4) 若手育成,(5) 技術開発・支援,(6) 啓発活動,を行なった.(5) については,サブナノメートルの可視化技術,すなわち,(i) 電子線クライオトモグラフィー,(ii) 急速凍結レプリカ電子顕微鏡法,(iii) 高速AFM,そしてこれらとは別に,有用だがまだ十分には普及していない(iv) タンパク質の質量分析を領域全体に提供した.特に(ii)については,Facebookを中心に領域全体にオープンな形で技術開発を行い,極めてユニークかつ有用な技術となった.(6) については,本研究領域の主題である‘生物の動き’を前面に掲げ,スマートフォンアプリケーションや3Dプリンターなど,比較的新らしいメディアの活用を積極的に取り入れた. 2016年度からは,(7) 当領域活動のまとめとして,新しく提案された系統樹(Nature Microbioloty 2016, doi: 10.1038/nmicrobiol.2016.48)を基に生命全体における運動能の発生と進化に関する議論を行い,その内容を英文論文として発表する準備を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要にあげたそれぞれの項目を以下の様に展開した.(2,3) 既存の学会などにおける共催,協賛のシンポジウムを2015-2016年度に計13回開催した.海外研究者3人を招へいし,それぞれ,国際シンポジウムと,計画班や公募班数か所への訪問を行い,共同研究および議論を行った.メーリングリストとFacebook (fb)によって議論を領域関係者全員で行った.その議論内容は,60,700文字にも及んでいる.また議論を基に複数のシンポジウムを企画した.(4) シンポジウムで30-40代の研究者を優先してオーガナイザーや発表者に抜擢した.(5) クライオ電子線トモグラフィー技術開発と急速凍結レプリカ電子顕微鏡法の技術開発を行い,極めて有用な多数の結果を得た.一部はNature Communicationsやアメリカ微生物学会のフラッグシップ誌であるmBioなどで出版ずみであり,数編の論文が現在審査中である.タンパク質用の質量分析装置を大阪市立大学内に設置し,2016年10月までに,のべ157グループからの3508試料を無償で解析し,結果の一部はすでに出版されている.高速AFM技術開発を,金沢大学のグループと領域メンバーとの協力により行い,eLifeなどの論文として出版した.(6) 啓発活動として,領域に関係する細胞やタンパク質の立体模型を数百個を作製,提供し,その過程はfbにて公開した.領域研究内容を一般市民向けに説明した図鑑と,生体運動のビデオを集めたアーカイブス(閲覧数は2016年6月現在で29,127回),をそれぞれオンライン版とスマートフォンアプリ版(アプリのダウンロード数は2016年6月現在でそれぞれ3924回と263回)の双方で公開した.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の翌年であることを踏まえ,現在までの進捗状況にあげたそれぞれの項目を以下の様に完成させる.(2, 3) 引き続きメーリングリストやFacebook (fb)などで運動マシナリーにかんする議論を続ける.議論内容は,領域がサポートしたミーティングのレポートなどとまとめて,単行本として出版する.(5) きわめてユニークかつ有用な技術となった急速凍結レプリカ電子顕微鏡法について,領域内各テーマへの積極的な技術提供を続け,それぞれの成果を本年度中に出版する,また,その経過はひきつづきfbにて公開する.今後もタンパク質の質量分析と高速AFMの技術提供を行う.(6) 啓発活動として,今後も領域に関係する細胞やタンパク質の立体模型を各所に提供し,経過はfbにて公開する.これまでに得られた新しい技術を,邦文誌にて出版し,また特許を取得する.得られているオンラインビデオアーカイブスを生物物理学会へ移譲する.すでに公開しているスマートフォンアプリの最終版を制作し,少しでも長く使えるものにする.(7) 現在議論している運動能の発生と進化の議論をさらに進め,議論をまとめたものをNature Reviewsなどの著名雑誌にて出版する.また,計画班と公募班で研究された運動能それぞれを紹介した総説を国際雑誌にて出版する.
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