研究領域 | ニュートリノフロンティアの融合と進化 |
研究課題/領域番号 |
25105001
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中家 剛 京都大学, 理学研究科, 教授 (50314175)
|
研究分担者 |
久世 正弘 東京工業大学, 理学院, 教授 (00225153)
吉田 滋 千葉大学, 大学院理学研究科, 教授 (00272518)
佐藤 透 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (10135650)
金 信弘 筑波大学, 数理物質系, 教授 (50161609)
安田 修 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (50183116)
北野 龍一郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (50543451)
塩澤 真人 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (70272523)
丸山 和純 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (80375401)
中村 光廣 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 教授 (90183889)
|
研究期間 (年度) |
2013-06-28 – 2018-03-31
|
キーワード | ニュートリノ / 素粒子 / 宇宙 / 加速器 / 原子炉 / 原子核 |
研究実績の概要 |
新学術領域「ニュートリノフロンティアの融合と進化」では、素粒子から宇宙のスケールに渉る自然の各階層で展開するニュートリ ノ研究を融合し、ニュートリノを使った科学研究フロンティアを進化・発展させる。そのための総括班の活動は、各研究計画班の活動を有機的に結合しその進展を促し、公募研究の活動も組み入れ、全ての研究が円滑に進むようにサポートすることである。 「ニュートリノ」研究全体の進展としては、主テーマである「ニュートリノ振動の解明」が着実に進んだ。A01班では、ニュートリノ振動と反ニュートリノ振動の結果を直接比較することで、世界最高レベルで、ニュートリノ振動における粒子反粒子対称性の測定を実現した。これらは2016年夏の素粒子物理の成果のハイライトとして、注目された。A02班では、前置測定器を導入したより高精度な測定を実現した。A03班は、大気ニュートリノ振動測定を精密化することで、世界最高レベルでニュートリノ質量階層性の情報を得ることに成功した。A04班も、ニュートリノ振動の測定を改良し、それに加えて、不活性ニュートリノへの強い制限を設けるた。以上のように、領域全体が一致団結し、ニュートリノ振動研究を大きく前進させる年となった。また、実験技術のB斑、理論研究のC班、公募研究がそれらの活動を包括的にサポートし、実り多い年であった。 研究成果の創出と発信は、領域を構成する各研究グループの協力が功を奏している。領域内での全体研究会、研究計画班にまたがる中小規模研究会での議論、ホームページによる最新情報の共有、一般に向けての情報発信、国際研究会での研究成果発表等、総括班は「ニュートリノ研究」分野の活性化に大きく貢献した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画以上に、着実に研究が進展している。 (1) 計画研究班と連携し、国内外の研究動向を調査し、研究方針を立てた。研究計画班の進展状況を評価し、研究が円滑に進むようサポートした。(2) 各研究計画班と公募研究が情報を共有できるように、全体研究会を開き、ホームページも整備した。(3) 領域研究会では、国内外に向け最新結果を発信した。国際会議に若手研究者を派遣し成果発表を促進した。ホームページを通し、成果を一般に向けて広く発信した。(4) 研究分野の発展・融合に向け、「ニュートリノ・現象論」小研究会を開催し、新しいアイデアの創出と新しい結果に対する議論を誘起した。(5)本領域の多くの研究者が「ノーベル賞」の成果を含めニュートリノ科学の解説として、一般講演会、メディアでの発表、解説記事の執筆、解説書の出版、を行った。一例として、梶田氏が出演する「梶田隆章先生ノーベル物理学賞受賞記念講演会」を茨城県東海村で7月に共催した。また、小柴氏、梶田氏のノーベル賞につながる神岡での実験の成果を「カミオカンデとニュートリノ」として、中家も共著者として出版した。他にも、本領域研究に関係した成果として東北大学 末包文彦准教授がフランスの「ブレーズ・パスカル・チェア」賞を、大阪大学 佐藤透准教授、中村聡特任助教が平成基礎科学財団 第8回戸塚洋二賞を受賞した。 以上のように、総括班が領域活動を広くサポートし、各研究者それぞれがニュートリノ研究の進展に大きく貢献した。
|
今後の研究の推進方策 |
いよいよ最終年度であり、包括的に研究をまとめていく。最終成果のまとめとして、国際研究会を開催し、国際レビューを受けることを予定している。また、本研究で生まれた新しい研究の芽が、次の時代に確実に育つように、積極的に新しい課題にもチャレンジする。そのために、定期的に総括班会議を開催し、様々な研究会を企画し、各研究グループの連携を強固にしていく。また、国民の「ニュートリノ」への関心が非常に高まっており、アウトリーチに一層注力する。 (1) 計画研究班と連携し、国内外の研究動向を調査し、研究方針を更新する。研究計画班の進展状況を評価し、研究を相互にサポートする。(2) ホームページの更なる整備・改良を行い、各研究計画班の情報共有を推進する。全体研究会を開催する。(3) 領域研究会で、国内外に向けて最新結果を発信する。国際会議に研究者を派遣し、成果発表を促進する。 (4) 各種の国際会議を企画・共催し、研究分野の発展を促す。国内で比較的小規模な研究会を開き、新しいアイデアの創出や、新しい結果に対する活発な議論を誘起する。(5) 「ニュートリノ」関係(素粒子・原子核・宇宙関係)の国際スクールを主催する。また他の組織が運営する「ニュートリノ」関係のスクールにも講師を派遣する。(6) ノーベル物理学賞「ニュートリノ振動の発見」の解説を含め、一般向けの講演、小中高生を対象とした出前授業、広報、Web、パンフレット、小冊子を通じたアウトリーチ活動を進めていく。4コマ漫画で「ニュートリノ科学」を紹介する企画を進める。これまで開発して来たコンテンツの英訳も進めていく。(7) 5年間にわたる研究の総括とその国際的なレビューのため、国際会議を開催する。海外の専門家を招聘し、研究成果の国際的な評価を受ける。また、今後のニュートリノ研究の更なる発展のための助言もいただく。
|