総括班
宇宙で最も大量に存在する元素(H, O, C, N)からなる固体物質(氷および有機物)の形成・進化に着目し,実験,観測,理論,分析等の多様な手法で,分子進化の全体像を描き,これらを通して,化学的視点に立脚した惑星形成論を新たに構築する.そのために研究手法の異なる研究班を組織し,総括班の助言のもとに班間の交流を促し,手法の枠を越え,垣根を取り払う必要がある.公募研究(平成26-27年度)と計画研究との連携を強め,研究を強力に推進するために,第3回の研究集会を平成25年10月に開催した.計画研究および公募研究について,各代表者・分担者からの講演をもとに,研究領域内でのそれぞれ研究の位置づけについて全体で議論をおこなった.総括班ワークショップを2回開催し(「宇宙分子進化研究の進展状況とその評価」,「宇宙分子進化研究の今後の展開」),領域の研究の進め方を議論した.また,若手研究者がリーダーを務めるワークショップを3回開催した:「小惑星内部での水と有機物の反応(リーダー:羽馬哲也)」「原始惑星系円盤ワークショップ(リーダー:為則雄祐)」「分子進化(リーダー:高橋修)」.ワークショップは各計画研究間の交流を促進し,連携研究を推進する役割も担っている.日本地球惑星科学連合大会で「宇宙における物質の形成と進化」セッションを開催した.また,国際ワークショップ「Solar-System Symposium in Sapporo 2016」を開催し,外国からの研究者と領域内研究者が密に議論した.また,研究者コミュニティや社会との相互理解を深めるために,本領域研究の内容の広報にも積極的に取り組んだ.また,一般向け講演会やメディアなどを通じ,「宇宙分子進化」研究の意義や成果の紹介を積極的におこなってきた.
2: おおむね順調に進展している
総括班会議,研究集会,ワークショップの開催は計画通りに行われた.研究集会では,公募研究と計画研究の連携・進展状況が確認できたことは意義深い.ワークショップは若手研究者がリーダーとなって3回開催し,特定のテーマを深く議論することができた.また,総括班ワークショップを2回開催し,領域の研究の達成度や今後の展望を少人数で深く議論し,中間評価へも対応した.また, Solar-System Symposium in Sapporo 2016を主催し,国内外の参加者が関連するテーマを密に議論するとともに,領域の研究成果を発表することができ,参加者にも大変好評であった.広報でも,一般向け講演会や書籍,メディア,ホームページを通じて,新規情報を迅速に発信している.以上のことから,研究は,ほぼ当初の計画通りに進展していると考えている.
基本的には,当初の計画通り研究を推進していくことで,研究目的を達成できると考えている.平成28年度には,第4回研究集会を北海道大学で開催する予定である.また,ワークショップも随時開催していく.国際ワークショップは,2016年10月に「星間物質ワークショップ」を,2017年2月に「Solar-System Symposium in Sapporo 2017」札幌で開催する予定であり,研究成果の世界への発信を進めていく.関連学会への成果報告という意味では,地球惑星連合大会の「宇宙物質進化」セッションを引き続き開催し,成果の学会への普及をはかる.また,随時一般向けの成果広報の場を設ける.
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 11件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
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http://www.astromolecules.org/