現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本領域では、(1)脳に時間地図を描き、(2)操作の方法を臨床応用につなげ、(3)時間の意識の進化を解明する、という3つの目標達成に向けて、7つの計画班と32の公募班が理系と文系の垣根を超えた連携研究を進めてきた。各班の研究成果はすでに100報(Nature Neuroscience 1報, Nature Commun 1報、PNAS 2報など)を超える学術論文として公表され、連携研究の成果もすでに13報を数えた。(1)については、北澤班(A01, 神経科学)・池谷班(A02, 神経科学)・河村班(A04, 臨床神経心理学)の研究成果が結びついて、大脳内側面の楔前部-後部帯状回-海馬のネットワークに現在から過去に至る時間軸が表現されている可能性が浮かび上がろうとしている。大津班(B01, 言語哲学班)の時制表現に関する研究成果に基づいた連携研究も進行してる。(2)については、池谷班が記憶に重要な海馬のSharp Waveの頻度を報酬によって変えることにネズミで成功した。また、ヒスタミンに着目した記憶の操作法も開発している。池谷班と河村班の間で臨床応用につなげるための研究が計画されている。(3)については、平田班(C01, 比較行動学)を軸として、北澤班、田中班(A03, 神経科学)、河村班、酒井班 (C01, 理論神経科学) との共同研究が着実に進行している。また、若手研究者の育成に関しても、文部科学大臣表彰・若手科学者賞を初めとする若手研究者の受賞が30件を越えるなど順調な成果を挙げている。以上の理由からおおむね順調に進展していると判断した。
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