研究領域 | 高難度物質変換反応の開発を指向した精密制御反応場の創出 |
研究課題/領域番号 |
15H05801
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
澤村 正也 北海道大学, 理学研究院, 教授 (40202105)
|
研究期間 (年度) |
2015-06-29 – 2020-03-31
|
キーワード | 触媒設計 / ホスフィン / ポリスチレン / 固相担持 / 架橋剤 / ニッケル / 有機リチウム / クロスカップリング |
研究実績の概要 |
ポリスチレン担持型ホスフィンは、不均一系遷移金属錯体触媒の配位子として古くから研究されてきた。しかし、柔軟な高分子鎖が立体障害として働くため、触媒活性の低下がしばしば問題となる。本研究者のグループは金属配位点を空間的に孤立化させて高活性金属種を生成するポリスチレン架橋モノホスフィンPS-TPPを開発している。さらに、この触媒設計概念を2座キレートホスフィンへと拡張したポリスチレン架橋ビスホスフィンPS-DPPBzを開発し、これがニッケル触媒による塩化アリールのアミノ化反応およびフェノールエステルとアゾール類のC-O/C-Hカップリング反応、銅またはコバルト触媒によるアルケンのヒドロホウ素化反応において既存の均一系配位子よりも圧倒的に優れた配位子性能を示すことを見出した。 本年度は、PS-DPPBzの適用性についての研究を進め、ニッケル触媒による塩化アリールと有機リチウム反応剤のクロスカップリングの優れた配位子となることを明らかにした。これまでにニッケル触媒村橋カップリングに有効であると報告されている1,2-ビス(ジエチルホスフィノ)エタンや対応する可溶性配位子であるDPPBzでは、同条件下、反応はほとんど進行しないことから、ポリマー架橋の効果は顕著である。 また、トリシクロヘキシルホスフィン誘導体を3点架橋剤とするポリスチレン架橋モノホスフィンPS-TCPを新たに合成し、塩化アリールのアミノ化反応など、いくつかのPd触媒反応の優れた配位子となることを見出した。たとえば、PS-TCPは、塩化アリールのPd触媒クロスカップリングにおいて、PS-TPPや均一系のトリシクロへキシルホスフィンよりも優れた配位子性能を示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ポリスチレン担持型ホスフィンPS-DPPBzの用途をニッケル触媒によるアルキルリチウム反応剤のクロスカップリングに拡張することができた。さらに、トリシクロヘキシルホスフィン誘導体を3点架橋剤とするポリスチレン架橋ホスフィンの配位子の合成に成功し、塩化アリールのアミノ化反応など、いくつかのPd触媒反応における有効性が確認できた。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに合成したポリスチレン架橋ホスフィンの用途拡張を継続しつつ、キラルホスフィンを架橋剤とする新規ポリスチレン架橋ホスフィンを合成し、不斉合成に展開する。 シリカナノ粒子担持かご型ホスフィンを合成し、触媒反応における有効性を確認する。
|