計画研究
本研究の目的は、生体触媒などの複雑な反応場における触媒機構の解析を通し、精密制御反応場の構築に寄与することである。鉄イオンを含む活性中心では、系間交差を経る反応経路を研究する必要がある。特に系間交差点が遷移状態になる系では本質的な問題である。また、タンパク質反応場などにおいては、官能基の立体配置やその柔軟性をも考慮する必要がある。また、当該新領域研究における共同研究を行う。反応メカニズムを明らかにし、触媒設計の指針を提案することで、当該領域の開拓に貢献する。2019年度は、(1)Au/OMS-2触媒によるケトンのα,β-脱水素反応についての反応経路(山口研究室との共同研究)、(2)ポルフィリン触媒による二酸化炭素とエポキシドの共重合反応機構(野崎研究室、依馬研究室との共同研究)、(3)系間交差を含む反応経路の自動決定に関する開発を行った。(1)では、担体からの電子移動により、Auクラスターに吸着した酸素分子が活性化され、C(sp3)-H結合からの水素引き抜きが起きることをDFT計算により明らかにした。(2)では、共重合に有効な反応機構として、置換基である4級アンモニウム塩が負電荷を持つ中間体を安定化し、配位子交換を促進すること、中心金属としてアルミニウムを用いることで、エポキシドが開環する際に生じる不安定なアルコキシドを安定化できることにあることを計算により示した。(3)については、NEB法と我々が開発した系間交差点の探索手法を結合することで、交差点を見出す困難な構造最適化が自動化できることを示した。また、ケトンのヒドロシリル化に関する研究(砂田研究室との共同研究)、アニリン合成における添加物であるスチレンの役割に関する研究(山口研究室との共同研究)、Ni触媒による環化異性化の反応機構に関する研究(有澤研究室との共同研究)についての論文が出版された。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (17件) (うち国際共著 4件、 査読あり 17件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件、 招待講演 7件) 備考 (1件)
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