研究実績の概要 |
1.キラル高分子触媒の螺旋キラリティ有機メカニズムの解明 小角中性子散乱測定と計算科学を組み合わせることにより、ポリキノキサリン(PQX)骨格におけるキラル側鎖から高分子らせん主鎖へのキラリティ転写の機構に関する知見が得られ、溶媒とキラル側鎖とのファンデルワールス相互作用が極めて重要な因子となることを見出した(国内、国際共同研究(フランス)、M. Suginome et al. J. Am. Chem. Soc., 2018, 140, 2722-2726)。この知見は、溶液中の高分子の主鎖コンフォメーションを小角中性子散乱を利用して決定した極めて珍しい例であるとともに、キラル側鎖の溶媒和によって螺旋コンフォメーションが決定されることを提唱した初めての例である。この知見に基づき、高分子が形成する精密反応場のより精密なデザインが可能になると期待される。 2.触媒活性アミノピリジンペンダントを有するポリキノキサリンのキラル触媒としての利用 4-アミノピリジル基を有する種々のPQXを比較検討した結果、4-(N,N-ジプロピルアミノピリジル)基を有するPQXdpapがトルエン中での2級アルコール類のアシル化速度論的光学分割で極めて高い分割効率(s > 25)と、優れた回収再利用能力を示すことを見出した。(論文作成中)。この触媒を1,1,2-トリクロロエタン中で用いるとトルエン中と逆のエナンチオマーを選択的に分割可能であることも見いだした。
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