計画研究
平成28年度は、ひので衛星の観測を実施するとともに、フレアデータベースの構築を進め、フレア発生の原因となる磁場構造について観測的な理解をめざした解析を清水が中心となって行った。名古屋大学では計算サーバーを導入し、草野と鳥海が中心となって太陽活動領域モデルの開発と、太陽風モデルの基礎研究をおこなった。国立文台では花岡が彩層磁場の高精度観測を実現するための高感度赤外線センサーを導入し、観測制御システムの開発すすめた。また、京都大学飛騨天文台では一本が中心となってフィラメント速度場撮像装置をSMART望遠鏡に搭載し定常観測を開始、400km/secに達するフィラメント放出の観測に成功した。情報通信研究機構ではコロナ中を伝播する衝撃波を追跡するため、久保が中心となって山川観測所において太陽電波望遠鏡による電波バーストの定常観測を開始した。徳丸は名古屋大学太陽地球環境研究所の惑星間空間シンチレーション(IPS)観測装置による太陽風観測を推進するとともに、コロナ磁場とCME磁場のBz成分との関係に関する調査を行い、有意な結果を得た。秋には名古屋大学でデータ解析ワークショップを開催した。大学院生や若手研究者約20名が参加し、これまで蓄積されたフレアデータを解析することにより、学生教育と成果の創出を図った。2017年3月にはA04班と協力し、 A02 太陽嵐とA04 周期活動のテーマを主題とした国際会議PSTEP-2を京都大学で開催した。それぞれの分野において第一線で活躍する11名の研究者を海外から招聘し、国際共同研究を加速した。
3: やや遅れている
平成28年10月、新規に作成したフレアデータベース(紫外線)を用いて、フレアデータの初期調査を行った結果、太陽表面磁場データとの連携が良いフレアイベント例が想定以上に少ないことが明らかになった。研究遂行上、太陽嵐の発現機構の解明のためには戦略を再考する必要があることから、研究方法の再検討を追加で行ったうえで、フレアデータの詳細解析に入る必要が生じた。
平成29年度は、ひので衛星10年の観測から整備したフレアデータベースを活用して、大フレアを発生させる活動領域の磁場構造の時間発展、フレア発生の原因となる磁場構造や前兆現象、等について観測的な理解をめざした解析を、宇宙研・清水が中心となって行う。国立天文台では花岡がフィラメントの磁場観測を継続するとともに、高精度化にむけた赤外線センサーの開発をおこなう。京都大学飛騨天文台では一本が中心となって昨年度完成した太陽全面速度場撮像装置による観測を継続するとともに、フィラメント噴出の自動検出アルゴリズムを実装する。情報通信研究機構では久保が中心となって太陽電波望遠鏡による電波バーストの定常運用とデータ公開を、名古屋大学宇宙地球環境研究所では徳丸が惑星間空間シンチレーション(IPS)観測装置による太陽風観測を実施する。モデリングについては、草野が中心となって太陽活動領域磁場モデルを用いたフレアトリガー機構を検証する数値実験、太陽風・CMEモデルと観測との同化モデルの開発、をおこなう。また国立天文台鳥海はフレアを多発する複雑な太陽活動領域形成モデルの開発をおこなう。本計画のメンバーによる班会議を複数回招集し、各施設で得られたデータを共有するとともに、異なる観測データの接合や観測データをモデルへ入力する具体的方法を検討する。秋には学生を対象としたデータ解析ワークショップを企画して、成果の創出と人材育成を図る。またA03班とは太陽と地球を含む宇宙天気現象に関する具体的な研究テーマを設定し共同研究を推進する。その他本計画の成果を国際会議にて紹介し、より広く国際協力を推進する活動を行う。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (21件) (うち国際共著 9件、 査読あり 21件) 学会発表 (48件) (うち国際学会 28件、 招待講演 24件) 備考 (2件)
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