研究領域 | 太陽地球圏環境予測:我々が生きる宇宙の理解とその変動に対応する社会基盤の形成 |
研究課題/領域番号 |
15H05814
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
一本 潔 京都大学, 理学研究科, 教授 (70193456)
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研究分担者 |
花岡 庸一郎 国立天文台, 太陽観測科学プロジェクト, 准教授 (10238040)
清水 敏文 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (60311180)
草野 完也 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 教授 (70183796)
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研究期間 (年度) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | 太陽フレア / 宇宙天気 / コロナ / コロナ質量放出 / プロミネンス / 太陽風 / 太陽磁場 |
研究実績の概要 |
本計画研究では、爆発に至る太陽面磁場の発達過程から、噴出するプロミネンスの運動、およびそれに伴って発生するコロナ中の衝撃波と質量放出(CME)を全国の関連機関が連携して観測し、電磁流体方程式に基づく数値モデルでこれらを再現することによって、地球を襲う太陽嵐を実時間予測する方法論と、確度の高いフレア発生予測スキームの開発を目指している。 H29年度は、ひので衛星による光球磁場観測、国立天文台のフィラメント磁場観測、京大飛騨天文台のプロミネンス放出速度観測、NICT山川観測所の電波バースト観測、名大惑星間シンチレーション観測システムによる太陽風の観測を順調に実施した。2017年9月初めに出現した大黒点群は高い活動性を示し、マスコミに報道されるなど世間の注目を集めた。地上観測にとっては、Xクラスフレアがすべて日本の夜に発生する不運もあったが、ひので衛星は急激に発達する光球磁場の詳細な構造と大規模フレアのコロナ観測に成功し、太陽活動が低下するなか、フレア研究にとって貴重なデータを得ることができた。フレアやCMEの発生予測につながる成果もあがった。すなわち、フレア発生前の捻れたコロナ構造(シグモイド)の存在や、フレアに関与する(フレアリボンの)磁束量とその上を覆う活動領域全体の磁束量の比が、フレアが発生したときにCMEを伴う率と関連していることが観測的に見いだされ、また非線形フォースフリー磁場モデルからは、フレアやCMEの発生に深く関与する指標(κ-パラメータ)が発見された。CME伝搬数値モデルの高精度化もすすめられ、今後データベス化によるCME地球到来の実時間予測実験や高エネルギー粒子モデルを組み込んだシミュレーションを行う計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各施設における観測装置の運用はほぼ順調におこなわれ、太陽活動イベントのデータが蓄積されつつある。太陽活動の低下に伴い観測されるイベントの頻度は減少してきたが、予想された傾向である。モデリングにおいてはフォースフリー磁場に基づくフレア発生予測につながる成果が上げられており、太陽風・CME数値シミュレーションの開発もほぼ予定通りに進められている。
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今後の研究の推進方策 |
ひので衛星10年の観測から整備したフレアデータベースを活用し、大フレアを発生させる活動領域の磁場構造の解析に加えて、コロナにみられる不安定化の前兆現象に着目した解析を、宇宙研・清水が中心となって行う。国立天文台では花岡がフィラメントの磁場観測を継続するとともに、開発を進めてきた赤外線センサーを用いた試験観測をおこなう。京都大学飛騨天文台では一本が中心になって太陽全面速度場撮像装置による観測を継続するとともに、フィラメント噴出の特徴量とCMEの関連性を吟味する。情報通信研究機構では久保が中心となって太陽電波望遠鏡による電波バーストの定常運用とデータ公開を、名古屋大学宇宙地球環境研究所では徳丸が惑星間空間シンチレーション(IPS)観測装置による太陽風観測を実施し、CMEの同定およびCME伝搬予測モデルとの連携をすすめる。モデリングについては、草野が中心となって太陽活動領域磁場モデルを用いたκパラメータの有用性を検証する数値実験、CME伝搬モデルのデータベース化、太陽風・CMEモデルと観測との同化モデルの開発をおこない、CMEモデルを用いた高エネルギー粒子シミュレーションを簑島が行う。また国立天文台鳥海はフレアを多発した2017年9月Xクラスフレアの再現シミュレーションと観測データとの比較をおこなう。 本計画のメンバーによる班会議を複数回招集し、各施設で得られたデータを共有するとともに、異なる観測データの接合や観測データをモデルへ入力する具体的方法を検討する。学生を対象としたデータ解析ワークショップを企画して、成果の創出と人材育成を図る。またA03班とは太陽と地球を含む宇宙天気現象に関する具体的な研究テーマを設定し共同研究を推進する。その他本計画の成果を国際会議にて紹介し、より広く国際協力を推進する活動を行う。
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