研究領域 | 海洋混合学の創設:物質循環・気候・生態系の維持と長周期変動の解明 |
研究課題/領域番号 |
15H05825
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
羽角 博康 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (40311641)
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研究分担者 |
建部 洋晶 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 気候モデル高度化研究プロジェクトチーム, ユニットリーダー (40466876)
小室 芳樹 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 北極環境変動総合研究センター, ユニットリーダー (90396945)
松村 義正 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (70631399)
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研究期間 (年度) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | 数値モデリング / 太平洋熱塩循環 / 鉛直混合 / 気候変動 / 物質循環 |
研究実績の概要 |
以下の4項目について研究を実施した:①高解像度モデルにおける混合過程のパラメータ化手法開発、②混合過程のパラメータ化を取り入れた太平洋モデリング、④混合過程のパラメータ化を取り入れた気候モデリング、⑤粒子追跡手法に基づく生物地球化学過程モデル開発。 ①では前年度に数値海洋モデルに採り入れた混合過程パラメータ化に対する改善を実施した。②では①のパラメータ化を取り込んだ高解像度太平洋モデリングを実施し、太平洋中心層循環に対して混合過程が及ぼす影響を評価した。使用したパラメータ化では温度躍層下部における混合が顕著に小さく、そのために太平洋深層子午面循環が観測的知見と比べてかなり弱いという結果になった。現在のパラメータ化では内部潮汐起源のエネルギーが発生源付近で散逸する成分による混合のみを取り扱っており、遠方伝播して散逸する成分の考慮が必要である。④では①のパラメータ化を比較的低解像度の気候モデル(大気海洋結合モデル)に採り入れ、海洋中深層混合が海洋構造およびそれを通して気候に及ぼす影響を評価した。太平洋深層における混合過程の強弱が深層子午面循環を通して南大洋の海洋構造に大きく影響を及ぼし、その結果は海洋にとどまらず、南大洋上の海氷分布を通して全球的な気候(例えば全球平均地上気温など)にも顕著に現れることが示された。⑤では従来は濃度で表現されていた生態系変数を粒子数で表現する低次生態系モデルを開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究項目②の実施において研究項目①の成果を反映させるにあたって想定外の困難が生じたが、研究費の繰越によって5ヶ月の延長を行った結果、問題を解決することができた。それ以外の研究項目では順調にモデル開発および数値実験を実施することができ、当初見込んでいた成果を概ね達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画に沿って、これまでに得られた成果を反映しつつ、新たに研究項目③(高解像度全球海洋モデリング)および研究項目⑥(物質循環モデリング)に着手するとともに、研究項目④において高解像度気候モデリングを実施する。これにより、全球海洋中深層循環に対して混合過程が及ぼす影響の評価、18.6年周期潮汐変動が気候に及ぼす影響の評価、および人為起源二酸化炭素の海洋による吸収と輸送の実態解明を目指す。
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